2013 PWC SuperFinal Brazil エピローグ

11日間の熱く、長い戦いは終了しました。1日は休息日。そして、1日が悪天候でキャンセルとなった以外、9本のタスクが成立する素晴らしい大会となりました。タスク距離は60㎞から100㎞と決して大きなものではありませんでしたが、ブラジルらしいトリッキーなコンディションに適したものであったと言えるでしょう。2013年ワールドカップチャンピオンを決定するふさわしい大会となったことは、間違いありません。そして、急遽変更となった大会を開催していただいたオーガナイザーには、本当に感謝です。


2011年決定したEN認証機のみ参加可能とする国際的なルールに、ワールドカップも追従することとなりました。2012年、2013年と2年間このルールで戦われる中、各メーカーも競技用EN-D認証機を新たに開発、投入してきました。そして、この新たなレギュレーションは、競技用パラグライダーにさらなる滑空性能と安全性の進化をもたらすこととなります。

しかし、各競技会において、参加グライダーが本当に認証機なのか!?公式な検査が必要になります。各タスクトップ選手はフライト後、PWCAのグライダーチェックを受けることが義務図けられました。ところが今回の大会では、そのチェックでグライダー後縁寸法と、ライザーのスピードシステムが認証機と全く違うグライダーがあることが判明したのです。

本来ならば、この時点で認証機ではないと判断され、そのグライダーを使用している選手は大会を失格となります。ところが、あまりに多くの選手が、このグライダーを使っているためPWCコミッティとしては、即失格とする判断することはできず、大会終了後上位者のグライダーを公式のテスト機関に送り、その判断をゆだねることを決定しました。

確かに、認証機だと信じて購入し、はるばるブラジルまで大会に参加してきた選手にその責任はなく、認証機と違うものをマーケットに出してしまった、そのメーカーの責任となります。少しでも性能を高め、勝つための手段だとはいえ、スポーツ精神には反する行為です。多くの選手が公式な抗議文書を提出する大問題となりましたが、これは今回の大会に限らず、世界中のパラグライダー競技会に問題提起することになるでしょう。

この問題に対し、PWCA(ワールドカップ委員会)がどのような判断をするかは、もはや見守るしかありません。大会期間中、競技に集中したかったため、できるだけこの問題を考えないことにしていました。そして、今はこの素晴らしい大会で、完全燃焼できたことに大変満足しています。

思えば、2000年に初めて参加したワールドカップが、今回の開催地Governador Varadaresでした。その後、10年以上PWCをメインとした国際大会に参加、失敗と成功を繰り返す経験中で多くのことを学ばせていただきました。自分の飛行技術向上だけでなく、パラグライダー性能の進歩を身に感じながら、飛ぶことの素晴らしさに感動させられてきました。そして、過去最高の結果を残すことができた場所が、Governador Varadaresだったことは何かの縁かもしれません。


長い間、応援し続けていただいた皆様、ご声援本当にありがとうございました。
ついにやりました!


投稿者名 宮田 歩 投稿日時 2014年01月27日 | Permalink

2013 PWC SuperFinal Brazil day12

25日 Day12 TASK10
いよいよ最終日です。朝から快晴。テイクオフに着いたころにはすでに雲底高度が1500mを越えています。最終日にふさわしい最高のコンディションとなりそうです。

68kmのトライアングルタスク。ゴールはメインランディングです。ES(タイム計測終了)ポイントはテイクオフの中腹です。どの高さで突っ込むと、ESをカットできるのか!?重要ポイントです。ちょっとフレンチミーティングを覗いて、ESシリンダーの位置を確認しました。なるほど・・・かなり山の中腹です。これは波乱の予感あり・・・。

今日も宮田グループはスタートで痛恨のミス。低いスタートとなってしまいました。焦らずアタックし、追走します。そしてレース中盤にはトップ集団をキャッチ!そして、雲底高度も1700mに達し、サーマルコンディションもピークに達しました。もてるスピードをフルに使いアタックし続けます。最終日ということもあり、全員がフルアタック!猛烈なスピードでファイナルグライドとなりました。


今日の宮田は冴えていました。サーマルからの離脱タイミングも完璧!残り10㎞をベストラインで飛びます。途中、先行していた集団は離脱高度が低すぎ、サーマルで回し始めます。上空をそのままスルー!そして、テイクオフ下の斜面にあるESシリンダーへまっしぐら!入り組んだ谷の中を一番奥まで入り込みます。さあ取れるか!?もう後戻りできません!斜面に突き刺さるつもりで突っ込みます。幸運にも谷の中では、ウルグー(鳥)がソアリングしています。もらったー!そしてぎりぎりの高度でESカット!


トップから15秒遅れの8位でフィニッシュ!燃え尽きました・・・。シビレる様なファイナルグライドが見事決まり、放心状態でゴールとなるメインランディングまでのフライダウン。至福のグライドとなりました。

成績はこちらからご覧ください。


総合成績も5位で終えることができました。グライダーチェック問題でENZO2が今大会どうなるのかは、まだ未決定です。しかし、その他のグライダーでは最上位となることができました。これから表彰式です。


投稿者名 宮田 歩 投稿日時 2014年01月27日 | Permalink

2013 PWC SuperFinal Brazil day11

24日 Day11 Task9
天候も問題なし!タスクは残り2本です。タスクブリーフィングでは、今日もグライダーチェックの結果についてコンプレイン(抗議)。数名のパイロットは競技をボイコットをするとのこと。しかし、自分はそんなことを気にはしてられません。


タスクは南に97㎞のストレートゴール。まるで筑波でのXCタスクのようです。スタートは昨日と同じ53㎞のシリンダー。グループは2つに別れました。当然、風上で待った方が有利です。


勝負に出ていた宮田は風上組を選択。しかし風上で待つと、回している間に強い風に流されてしまい、スタート時間にはシリンダーに入ってしまいましたフライングしてしまったため、まずはシリンダーの外に出てかリスタート。風下組はきっちり雲底からスタートしていくのが見えます。序盤から大きく出遅れます。

遅れた風上組には、イタリア伝説のパイロット、ルカ・ドニーも含まれていました。神がかったフライトで集団を引っ張ります。まるで強いサーマルのみが目に見えているようです。弱いサーマルには目もくれず、確実に1発でサーマルのコアに入っていきます。宮田はルカを徹底マークし、スピードを上げていきます。そして、レース中盤にはついにトップグループをキャッチすることに成功!

レース後半は時間的に15時を過ぎ、サーマル活動もピークに。雲底高度は2000mを越え、クラウドベースに乗ってフルスピードを維持するだけです。そして、最後の強烈なサマルをヒットし、いよいよファイナル勝負に!

+5m/sと昇竜のように上がっていく中、GPSのゴール余裕到達高度表示がプラスに転じるのを見続けます。まだマイナス100mで続々と離脱していきます。残りの距離は20㎞です。宮田はプラスになるまでさらに4周。やっとプラスに転じたところでスパート!

ゴールの飛行場は遠くか確認できますが、目線では届く確証はありません。先に離脱した選手は、上から見ると地を這う良いうにゴールに突き進んでいます。宮田はほぼクラウドベースをフルスピードで維持します。高度の高いところは吸い上げリフトが強く、グライディングしながら徐々に高度も上がっていきます。

そして、余裕到達高度はプラス300mまで!ゴールは確信できましたが、低く離脱した選手には完敗です。ぎりぎりの高度でゴールラインをカットしていくのが見えます。宮田はたっぷり300mも余してゴール!ゴールカット後、頭は真っ白・・・。呆然と高度処理を行っていると、飛行場の長い滑走路の真ん中に引いているライン手前に、次々と突き刺さる無念のパイロットが見えました。低く勝負に出たパイロットにも、明暗が分かれたようです。



2分遅れの921点。伝説の男ルカは2位でフィニッシュ。さすがです。総合成績は8位に後退しましたが、まだ点数は僅差です。ラストチャンスはまだあります。


投稿者名 宮田 歩 投稿日時 2014年01月25日 | Permalink

2013 PWC SuperFinal Brazil day10

23日 Day10 Task9
いよいよ終盤戦、残り3日となりました。コンディションはこれから良くなっていくことが予報されています。

87㎞のトライアングルタスクが決定。スタートの混雑を回避するため、スタートポイントは平野部の6kmシリンダー。選手は360度どこで待っても良く、スタート前に選手は分散し待機します。そうは言っても、良い雲底に集まり、結局大混雑。とにかくレーススタートです。

今日の宮田はとにかくアタッカーに徹してみました。あえてトップ集団からコースを変えてショートカットを試みます。しかし、さすがトップ集団なかなかスタックしません。逆に間違った判断をしてしまい、レース中盤はセカンド集団に転落。焦らずチャンスを待ちます。

最も南下したターンポイントを取り、後は向かい風をゴールまで戻るのみ!いよいよトップ集団をキャッチすることに成功。さあ勝負はファイナルグライドです。

残り15㎞トップ集団は3つ分かれます。ヤッセン、ステファンを含む突っ込みタイプは真っ直ぐコース。横風を嫌ったルカドニーニたちはさらに風上に。宮田はその真ん中コースです。さあ最初に最後のサーマルをヒットさせたものが勝者です。どうなる!?

緊張したグライドが続く中、高度はどんどん下がっていきます。とにかく周りをよく見てサーマルのサインを探します。いました!2匹のウルグーが低いところで回しています。すかさず、一緒にいたフランスのジャンマルクが突っ込みます。宮田、ジュリアンも追従。+2m/sのサーマルをヒット!ファイナルグライドカリキュレーターが+100mを表示!

すかさずファイナルグライドに入ります。トップスピードで僅かに遅れた宮田でしたが4位でフィニッシュ!時には幸運も必要です。ラッキーでした。

両サイド別れたグループも低くゴールラインになだれ込んできます。ゴール手前は小さな丘になっており、多くのパイロットは越えられず無念のランディング。そんな中、ギリギリの高度で丘を越えゴールする選手もいました。絶好調男の浜名湖PGS廣川選手です。素晴らしいアタックで今日も決めました。



宮田は総合7位まで上がってきました。残り2日。いよいよ表彰台は射程圏内です。


投稿者名 宮田 歩 投稿日時 2014年01月24日 | Permalink

2013 PWC SuperFinal Brazil day9

22日 Day9 Task8
再び、高気圧圏内になってきたようです。昨日までのような雲の多い条件ではありません。思いっきり飛べそうです。

南へジグザグと南下するシンプルな67㎞が決定。雲底はまだ低いものの、前半戦のスピードレースとなりそうです。

今日から宮田はアタックモード!集団から離れることにはなりますが、チャンスがあれば勝負に出ます。さすがトップ集団の選択はいつも正しく、なかなか前に出れません。

勝負はやはりファイナルグライドとなりました。ゴール上空には発達した積雲が形成され、強烈な吸い上げリフトの中をフルスピードで滑空するのみ。

トップとの差は縮まらず、2分遅れでゴール。936点とまずますの点数をゲットしましたが、30位。今日もほぼ全員がゴールする結果となりました。



総合成績は11位と後退しましたが、点数差は僅差です。まだチャンスはあります。
のこり3日間、攻めます。


投稿者名 宮田 歩 投稿日時 2014年01月23日 | Permalink