南半球が真夏となるこの時期、今年も世界有数のフラットランドエリア「Manilla」でXCフライトに挑戦です。
「Manilla」はエリアオーナーでもあるGodfreyWeness氏が1998年に当時のXC世界記録335kmを樹立し一躍有名になりました。テイクオフは高度差300mのBora山。テイクオフは北風以外の風向きに対応しており、トップランもできるほど十分な広さがあります。その日の風向きに合わせた、XCコースが選択でき、それぞれの方向に延びる道路に沿ってXCフライトを行います。
先週400Kmのエリア記録が更新されたばかり、モチベーションも上がります。宮田自身も自己記録更新をミッションに本気でチャレンジです!
ManillaXC Challenge Day1
フライト初日となった今日は風が弱く、大気は不安定。初日ということもあり、体を慣らすべくオーソドックスな北方向へ飛び、空中でのチームフライトと地上班との連携を確認することになりました。
11時には東テイクオフ準備が完了しましたが、テイクオフ裏ではダストデビル(小さい竜巻)が連発・・・。あまりの乾燥具合と時折入る裏風によりテイクオフは危険な状況。無理せず西テイクオフへ移動し風が変わるのを待ちます。
12時にやっとテイクオフ。順調にソアリングできるのですが、遠くには発達した積雲が雨を降らせているのが見えます。急いで東側を通過し、北上。
30Km地点からはランダムな積雲が続くベストコンディションエリアへ入ります。雲底も3200m!しかし50km地点を越えると北風の向かい風に。なかなかスピードは上がらず、たまらず102km地点でリターンすることに。今度は追い風を背負いスムーズに南下。18:00を過ぎても夕方特有の安定した上昇風は続き、65Km南下し夕陽を見ながら至福のファイナルグライドで終了!
6時間30分も飛んで、たったの167Kmのアウトアンドリターンでしたが、一日のコンディションを最大限に使った充実したXC初日となりました。
ManillaXC Challenge Day2
気圧の谷通過により、北風強風+午後からはサンダーストーム予報。フライトは諦め。Manilla南西に位置するGunnedahにコース調査と買い出しへGo!
午後からはホームセンターでゲットした釣り道具で、宿裏の川でFishing。竿なしの仕掛けで山ちゃん鯉ゲット!さすがでした。そして、夕方には凄いスコール…農家には恵の雨となりました。
夕食はオージービーフで定番のBBQ。しっかり食べて、ゆっくり休んで体力を回復できました。明日は空気も入れ替わり、南風ベースのBigDay予報。400Km狙います!
ManillaXC Challenge Day3。
前線通過の南風で晴れ予報!いよいよ記録に挑戦日がやって来たぞ!ワクワクしながら朝起きてみると、寒ーい!昨日までの熱風が信じられないほど、慌てて上着を着て朝食。それでもそれなりのコンディションを期待してエリアに向かうと、地上からでも、ビッシとした逆転層がはっきり見えます。これは渋そう…。
テイクオフに着くとやっぱり寒い。そして見事な逆転層が確認できます。これは記録よりも何とか夕方まで飛ぶ修行だと、心に言い聞かせテイクオフ。飛んでみると予想通り、強烈なサーマルは上がるのですが、1500m付近に形成された逆転層のせいで蓋をされたサーマルトップは荒れ荒れ。しかも、昨晩あれ程雨が降ったと言うのに積雲ができる気配もありません。
そして、ボラ山北の端はいつもの難関。ギリギリの高度で北の平野部に低くこぼれましたが、リーサイドの弱い上昇風にしがみつき、忍法「手裏剣の舞」地を這うように、上がらず下がらずの場所をひたすら風下にセンタリングで流し、トリガーポイントではフォースを使って何とか復活。1800mでBarabaの町を越えました。
荒れたサーマル間は決まって強い下降気流が…。何度も降りそうになりますが、今日も来ました神の使者!何処からともなく現れるイーグルに助けられ奇跡の復活3回!アボリジニーの神様ありがとうございました。しかし、4回目はありませんでした…。いろいろ技を駆使しましたが、65Kmであえなく撃沈。
厳しいコンディションでしたが、ベストは尽くしました。そんな中、スカイ朝霧の山ちゃんは107Km!漢(おとこ)を見せました。大陸のコンディションは以外に読み辛く、奥が深い…。勉強になった一日でした。
ManillaXC Challenge Day4
気圧配置の移り変わりは早く、オーストラリア南を通過する低気圧の影響か北風が朝から強い…。風が落ち着くまでゆっくり作戦会議。しかし、対流が活発になるにつれて風は強まるばかり、40度を軽く凌駕するあまりの暑さに、こうなったら川へ泳ぎにGo!夕方風が落ちるまで観光に切りかえることになりました。
Manillaから東に20Kmほど山に入った渓谷にある「BlueHole」。町人のスイミングポイントとして知られています。その名とは全く違って青くない茶色い水ですが、オーストラリアの大地のエキスがしっかり染み出した、ミネラルたっぷりな自然のプールです。オーストラリアの大自然を満喫!
たっぷり楽しんだのち、夕方エリアに行ってみましたが、やっぱり風は強く、長くテイクオフで待っていたパイロット達も諦めて下山してきました。我々も無理せずフライトは無し。
夕食は、好評だったBBQ2回戦。今日も美味しかったです。
ManillaXC Challenge Day5
オーストラリア大陸南にあった低気圧は通過しましたが、中心に向かう気圧の谷は我々の滞在するニューサウスウェールズ州には居座ってしまいました。天気は最高なのですが北西風は収まらず…。数日続くこのコンディションが予報されているので、ManillaでのXCは諦め、飛べる可能性のある東海岸へ移動となりました。
Manillaから真東へ300Km。午後にはPortMacquarieへ到着。北東風強めで飛べませんでしたが、いくつも点在するビーチフライトできるポイントを見学。美しいビーチで大自然を楽しむオージー達に交じって波と格闘してみました。さすが波もオージーサイズ!たくさん海水を味わいました。
風さえ収まれば…。せっかく海に来たのでシーフードレストランでパワー注入!明日に備えます。
PortMacquarie Challenge Day6。
既にManillaを離れているので、チャレンジの名前変更。そして、今日もやっぱり強風。こうなったら次回に備え観光調査!今回、お世話になっているCloudbaseParaglidingのクラブハウスにある遊び道具を駆使し、いろいろなことにチャレンジすることにしました。
Mission1:「KoaraHospital」
近くにあるコアラの保護施設見学。無料でコアラをまじかで見学でき、動物好きにはお勧め。コアラの愛くるしい動きに、とっても癒されます。
Mission2:「Surfing」
低気圧で猛烈にうねっている近くのビーチへ果敢に再び挑みました。やはり今日は誰もやっている方がおらず、我々も命の危険を感じたので直前で引き返すことに。
Mission3:「CamelRiding」
これもあまりの強風のために体験自体がキャンセルに。代わりにラクダ牧場にて雑草を集めてどこまで近づけるか餌付けチャレンジ。ラクダは目がかわいい!そして、下あごのがビヨビヨしていて、触ると気持ち良かったです。
Mission4:「Fishing」
これは大成功!穏やかな内海の漁港でちゃっちー仕掛けで挑みましたが、いろいろな魚が釣れて入れ食い状態!特に巨大なエイ軍団が凄かった!雑魚はその辺をうろうろしている野生のペリカンへプレゼント、小型のクロダイは持って帰って食してみることに。
Mission5:「Cooking」
これも大成功!昼はさっぱり日本からの素麺。そして夕食は、釣ってきた魚をさばき、食してみることに。昨日の高級シーフードに負けないように頑張りました。Cloudbaseクラブハウスは自炊もできて最高の環境です。伊尾木シェフのシーフードパスタも絶品でした。とても美味しかったです。
CloudbasePGのクラブハウスで快適に過ごさせていただいてます。すぐ近くにフライトエリアが多くあり、ビーチもすぐそば。自分もこんな夢のクラブハウスを立てられるように頑張らなければ!モチベーションあがります。
Newcastle Challenge Day7。
いよいよ最終日となってしまいました。PortMacquarieから南下しながら、CoastFlyingで飛べそうな場所を探し、一路Sydneyを目指します。
先ず一発目は、PortMacquarieから15Km南に位置する海岸エリアBonnyHills。先日、石垣チームが訪れた場所で我々も朝一に立ち寄りましたが、なぜか雨が接近…。慌てて撤収!気持ちは飛べたので次に駒を進めることに。
2回戦目はさらに180Km南下したNewcastleBeachへ。到着するとすでにローカルパイロットが楽しそうに飛んでいるではありませか!地元クラブの方が親切にエリアの説明をしてくれ、ビジターを受け入れてくれました。オーストラリアらしい素晴らしい海岸段丘と美しいビーチ。そしてリゾートマンションでリッジソアリング。この飛べなかった数日のストレスを気持ちよく発散することができました。
3回戦目はSydneyの有名なBondi Beachへ!とさらに南下しますが、Sydneyの大渋滞にはまりタイムアップ。後ろ髪をひかれながら空港へ到着となりました。
今回のチャレンジはXC新記録ブレークという壮大なミッションでしたが、天候にも恵まれず達成することはできませんでした。しかし、その分、初めてのエリア、新たな人との出会いがあり、今回も充実した修行だったと満足しています。
記録は必ず来年リベンジすることを心に誓い、シドニー空港から帰路に立ちました。