鵜山七曲オープン2019 大会レポート


今年で第2回目となる鵜山七曲オープンカップが開催です。会場は島田市葛籠の七曲スカイパークだけでなく、西風に対応した島田市身成の川根スカイパークも整備され、万全の体制で選手をお迎えです。直前に発生した秋雨前線がどう影響するか心配されましたが、みんなの念が通じ大会期間中は上手く南下してくれそうです。さあどうなるか?いよいよスタートです。

初日。
晴れては来るものの、前線通過後の西風が強まる予報。開会式終了後、風が強まる前にと、早めに川根スカイパークに移動します。仮タスクを用意しましたが、予報通り晴れ間と共に強まる傾向がある風に、安全に競技フライトが難しいと判断し競技中止が決定。安全なフリーフライトとランディングでの風船ターゲットとなりました。川根スカイパーク初となる大勢のパイロットが大空に舞う姿に、地元身成、抜里の方も喜んでいただけたようです。





夜は笹間交流センターで懇親会。風船ターゲットでの入賞者にはファルホーク様、エアかっしー様からのご協賛品が授与。協会の垣根を越えた選手間の交流に盛り上がりました。
明日は典型的な北西風ベースのリーサイドコンディション。朝から日照が続けば秋らしいナイスなコンディションとなりそうです。




2日目。
朝から快晴、絶好の予報に各クラス全員が楽しめるタスクを用意してテイクオフへGo。予報通りの北西風コンバージェンスな条件になりましたが、あまりに良すぎるスーパーコンディションに!地上からの対流、上空の本流が各高度、風向風速は激しく絡み合うタフなコンディションに…。世界戦国別3位入賞のナショナルチームメンバー廣川選手は2000mまで上昇。早めにテイクオフした猛者選手達も果敢にタスクにアタックしますが、さすがに風は強そうです。東に見えるコンバージェンスラインの接近を期待し、ぎりぎりまで待ちましたが、テイクオフの北西風はさらに勢いを増し、安全のため競技のキャンセルは無念の決定。





閉会式では、エントリー費入金順に賞品が配られました。早く入金いただけると主催者も大変助かります。選手も納得していただけたようです。このタスクを制したのは、募集開始直後、最初にエントリーし、そして最初に入金(ゴール)していただいた家崎選手。文句なしの1000点満点です。おめでとうございます!来年もゼッケン1番狙ってください!





閉会式が終わった15時からは、コンバージェンス風も落ち着き七曲でフリーフライトとなりました。夕方まで飛んでも1700mのスーパーコンディションは続き、残ってくれた選手は平和な七曲の空を楽しんでくれました。2000mも上がらんでも良いので、普通のコンディションでタスクやりたかったです…ちょっとフォースと忍法使い過ぎました。





これに懲りず、鵜山七曲の大会は続きます。スタッフの皆さま、本当にありがとうございました。来年こそは素晴らしいタスクが成立できるように準備します。選手の皆様また川根町でお逢いしましょう。


投稿者名 宮田 歩 投稿日時 2019年09月03日 | Permalink

US Open 2019 参戦記


プロローグ
バンクーバーからシアトルへ。日本チームと合流して、USA選手権にオープン参加するためにChelanにやって来ました。コロンビア川を越えた台地上では、強烈なサーマル(熱上昇風)がダストデビル(つむじ風)と共に発生するエリアとして有名。2010年のワールドカップで訪問し、4位入賞した思いで深い場所でもあります。

Chelanは,北アメリカ最深となる氷河湖畔にあるリゾートで、独立記念日があった週末からバカンスを楽しむ多くの観光客で賑わっています。それに合わせてたこの大会は、地元の大きなボランティア支援によって開催されています。大変ありがたいことです。

今日は公式練習日とミーティングが行われ、いよいよ明日から本番です。平野部の雲底は2800m!久しぶりとなる競技フライトのため、今日のフライトは装備の確認と調整がミッション。3年のブランクを埋めるべくスロースタートで気負わず行きたいと思います。ご期待ください。





Day1 Task1
大会初日。いよいよ競技スタートです。朝から快晴。テイクオフはビュートと呼ばれる浸食によって残された丘の頂上。何も無いテイクオフには選手がテイクオフ順を待つようにテントが設置され、強烈な日照を遮ってくれて助かります。

タスクは選手のコンディション調節に合わせ、101Kmの風下へのストレートゴールが決定しました。ここChelan では簡単なショートタスク。先ずはミスせずゴール前で勝負を心がけます。しかし、大事なスタートで失敗し、やや後方からのスタートとなってしまい、トップグループを後方から追い上げる形でレースは進みます。

初日ということもあり選手も大きなリスクを負わず集団で進みます。そんなスローペースの集団を、残り25Kmでついにキャッチ!と思われましたが、ダントツに一人抜き出ていたトップowenから10分遅れのゴール…。

レース展開はこちらから
https://airtribune.com/play/4210/2d

後追いだった分、リーディングポイントは期待できませんが、まずまずの滑り出しとなりました。残り6日、勝負は後半戦までとっときます。
https://airtribune.com/us-open-paragliding-chelan-20…/…/open






Day2
大気が不安定な予報でしたが、朝は快晴のため、選手も朝から興奮気味。我々も準備万端気合を入れてテイクオフに上がりました。弱い風のため、早速74Kmのトライアングルタスクが発表されスタート時間を待ちます。

ところが高層雲が張り出すのと同時に、コロンビア川を渡った先の平野上に積乱雲が…。上空に流入した寒気の影響でアッという間に発達。遠く雲の下は雷雨が見えます。流石にこれはヤバい!主催者はギリギリまで待ちましたが、やはりキャンセルが決定。残念ながら下山となりました。しかし、積乱雲もアメリカンサイズ!すごい迫力でした。

明日も大気は不安定。吉と出るか凶と出るか?準備は万端です。どんとこい!




Chelan 2019 Days 1 and 2 from HapiAcro on Vimeo.



Day3 Task2。
適度な不安定な大気ですが、南風が強い予報。Chelanの平野部は南風に弱い。こうなったらカナダ国境まで行ってしまいましょう!と発表されたタスクは風下への133Km。

一見、簡単そうなタスクでしたが、スタート前の位置取りが勝敗を分けそうです。テイクオフ後は風上側から注意深く台地にのって、今日の宮田は狙い通り大地の上でベストポジションのスタートに成功。

終始、トップグループでコマを進めることができ、ファイナルグライドは失敗しゴール手前に降りそうになりましたが、何とか4位でフィニッシュ!トップはブラジルで500Kmを越える世界記録を樹立した伝説のパイロットDonizete。やはりすごいパイロットです。
https://airtribune.com/us-open-paragliding-chelan-20…/…/open

レース展開はこちらから。
https://ayvri.com/…/2019_chelan_us_paragliding_open_tuesday…

やっとレースの感覚が戻ってきました。現在総合4位。まだ残り4日あるので、少しずつ順位を上げていきます。
https://airtribune.com/us-open-paragliding-chelan-20…/…/open






Day3の動画はこちらから
https://vimeo.com/347649914

Day4
前線通過で朝から雨。午後から回復予報でしたが、強風予報も出ているためキャンセルが決定。夕方、風が収まれば飛べるかとひたすら待ちましたが、発達した積乱雲が広がり、やはりダメでした。残念…。

あきらめて、夕方近くの川の散策に。気持ち良いトレックロードが整備されていて、良い気分転換になりました。明日に向けての準備は万端です。




Day5 Task3
残り3日。大会も後半戦になってきました。選手も本気モードで、降りてしまうリスクがあってもガンガンとアタックする展開が予想されます。タスクは南風強い予報ですが、東西方向に台地を往復し、北へ。ゴール手前でまた東西に往復する。横風レグが多く、距離も122Kmのテクニカルな内容です。

スタートは今日もピッタリ決まり、ベストポジションでレース開始!やはりトップ集団はいつものメンバーに絞られ、抜きつ抜かれつ更にハイペースで展開。特にブラジルのレジェンドDonizeteがガンガン低くアタックし、トップ集団を牽引します。宮田はついて行くだけで必死。中々前方にアタックすることができません…。もちろん、トランジットは常にフルスピードを維持しないと、アッというまに置いて行かれます。

何とか中盤までは良いポジション行けましたが、さあこれから勝負という残り50Kmで完全に置いて行かれます。気持ちを入れ替えしっかり雲底まで上げて一気に追いつく作戦に変更。3000mの雲底から残り30Kmのファイナルグライドで勝負!最終レグは力いっぱい横風!!ファイナルグライド計算はゴール上空「+350m」の余裕到達高度が表示されています。よーし!Go!しかし、最終パイロンは対岸の湖の上を折り返したころには「+50m」さらにみるみる減っていきます。残り10Kmでは「‐50m」!!これは上げないとゴール前に突き刺さってしまう。得意の忍法神頼み!!!

すると、今日も出ました!奇跡のサーマルのおかげで数十mゲイン。町の上をギリギリの高度で通過しゴールラインをカット!!最後にかなり追い抜いて7番目にゴールでしたがトップから10分遅れ…。
https://airtribune.com/us-open-paragliding-chelan-20…/…/open

たまには幸運も必要ですが、総合成績は5位に後退。残り2日。まだ表彰台のチャンスはあります。
https://airtribune.com/us-open-paragliding-chelan-20…/…/open







Day5の動画はこちらから
https://vimeo.com/348511056

Day6 Task4
高層雲に覆われた朝でしたが、ここシェランでは午後から晴れてくることが多く、気持ちを高めテイクオフへGo! 北西の谷へストレートゴールが発表されましたが、高層雲は依然取れず。しばらくウェイティングとなります。

午後1時を過ぎても、高層雲はべったり。たまらず40Km北へのミニマムタスクに変更しコンディションの好転を待ちます。14時を過ぎダミーがやっとソアリングし始めたのを見て、ウインドオープン!渋いコンディションの中、選手は次々とテイクオフしていきますが、ほぼ撃沈…。宮田最後まで粘りたおし、好転を待ちますが耐えきれずランディング。海外の大会では珍しくリフライト有だったため、コンディションの好転を期待してテイクオフへ。すると奇跡が起きます...。

最初のリフライト組がテイクオフに着いたころ、なんと雲が切れて青空が!!!飛ばずに待っていた組と合流し、次々とゴール方向へ消えていくではありませんか。宮田もギリギリ16:30のウィンドクローズに間に合い、追従します。

急いだリフライトでしたが、悲しいかなまたもや高層雲が…。ドン曇りの中、コロンビア川西斜面に取りつき、緩斜面を「忍法手裏剣の舞」で回し続け凌ぎ、台地の縁まで上げたら「忍法張り付きの術」リッジソアリングで何とか北上に成功!

いよいよファイナルグライドですが、ゴールは台地の裏!ギリギリの高度で裏にこぼれたら届く!とそう思ってこぼれてみると、何とそこは広大な果樹園。対地高度はとれず、あえなく林道に撃沈…。

放心状態でグライダーをパックしていると、青空が再び…。何とタイミング悪いこと。歩いていると農園で働くトラックに乗ったメキシコ人アミーゴが通りかかり乗せてくれることに。電波も入らない台地の上だったので助かりました。グラシアス、アミーゴ!

全員リフライトかと思われましたが、唯一生き残ったのはブラジルのレジェンドDonizete!ぶっちぎりのゴールでした。本当に凄いオッサンです。いよいよ、残り一日となってしまいましたが悔いなくせめて少しでも順位を上げていきます。



USオープンDay7 Task5
大会最終日。朝は高層雲が広がり、昨日同様いやな雰囲気でしたが、テイクオフに到着するころにはすっきり晴天に。強烈な日照が肌を刺します。

最終タスクは閉会式のこともあり、台地上の道路に沿った78Km。これはあっという間に終わってしまいそうです。今日もピッタリ、ベストポジションでスタート!台地上は大会期間中、最高のコンディションとなり、積雲下の良質なサーマルは+8m/s!「忍法昇龍拳」で一気にクラウドベースへ。

弱いサーマルは捨て、ひたすら積雲下をフルスピードで飛び続けます。今日も集団を牽引したのはブラジルのレジェンド、Donizete。最終日にアタックする選手も、彼の前に仕掛けるのは難しく、追従するので必死です。

アッといまにファイナルグライドへ。宮田も何とか追従しますが、ゴール手前で引き離され10位でフィニッシュ。主催者の狙い通り80人のゴールとなりました。
https://airtribune.com/us-open-paragliding-chelan-20…/…/open

総合成績は5位。3年ぶりの競技会は燃え尽きることができました。昔の仲間とだけでなく、伝説のパイロットDonizeteさんと飛べたことは自分に大きな刺激になりました。年に数回しか飛ばないそうですが、平野部を飛ばせると世界一かと思われる神がかったフライトを見せてくれました。凄いパイロットがいるものです。

世界は本当に広い…。





エピローグ
世界有数のフラットランドChelanでの戦いが終わりました。7日間中、5日飛べて、それぞれChelanらしい素晴らしいタスクが成立。3年間の競技活動のブランクを埋めるべく選んだステージとしては最高だったと感じています。

ただ、この3年間でグライダー、ハーネス、計器などの道具だけでなく、その間トレーニングを積んできた選手も大きく進化していて、自分がはるか取り残されていることも強く感じました。

ルールは、より先行して飛ぶ選手を評価するリーディングポイントの比率が大きくなり、失敗を恐れずアタックし続けることが結果総合成績に反映されてくる。そんなゲームになってきているのです。アベレージパイロットであった自分の飛び方も変えなくてはなりません。

今回のUSAでの遠征が、自分の競技フライトへのモチベーションを、また引き上げてくれる本当に良い機会になりました。USオープンで得たレター(成績)を使い、またワールドカップに挑戦できるように準備していきたいと思います。

ご声援いただきました皆様、ありがとうございました。





投稿者名 宮田 歩 投稿日時 2019年07月18日 | Permalink

鵜山七曲パラグライダーオープンカップ2018 大会報告


鵜山七曲パラグライダーオープンカップ2018 レポート 
                          実行委員会  宮田 歩

静岡県島田市に生まれた七曲パラグライダーパークも今年4年目を迎えました。開発当初から、地元川根町の皆さんをはじめ、島田市のご協力をいただき、全国大会を開催するまでになりました。本当に感謝致します。




さて、七曲エリアは、高度差700m。その名の通り大井川が狭い範囲で大きく褶曲した「鵜山の七曲」を眼下に望むことができるダイナミックな地形のエリアです。南北に流れる大井川には日中、駿河湾からバレーウインドが吹き込みます。バレーウインドは褶曲した地形で淀み、サーマルトリガーとなりテイクオフ前面斜面に安定して吹き上がります。このダイナミックなエリアを楽しみたいと北は仙台、西は北九州から80名の選手が集まりました。




25日(土)大会初日。
大会前日には台風20号が通過し昨晩まで雨が残りましたが、朝には快晴。テイクオフは雲の切れ間から幻想的な絶景が望めましたが、無情にも風は西風が強く競技フライトは不可能と判断。競技は中止が決定され、開会式は川根文化センターホールにて行われました。





その後、選手の皆さんには島田市観光タスクにGO!再度集まった懇親会では、団体の垣根を越えた選手間の交流が印象に残りました。ファルホーク前田氏、アウトバーン加賀山氏の協賛品争奪じゃんけん大会も盛り上がりました。




26日(日)2日目
雲一つない快晴の朝。今日も西風強風予報でしたが、東風のサーマルブローの押し上げに期待しスケジュールは早めにシフト、少ないチャンスにかけて選手はテイクオフへ移動。仮タスクも発表され、あとは東風ブローの押し上げを待つのみ。ダミーパイロットも万全の体制でウェイティングしますが、無情にも西風は強まるばかり・・・。10時に無念の競技キャンセルが判断されました。






下山後は、選手全員に賞品をお持ち帰りいただけるように、紙飛行機アキュラシー競技で順位をつけさせていただきました。優勝はベテランの小幡選手!さすが紙飛行機も直進安定性を重視した放物線で的を狙う作戦はさすがでした。



パラグライダーの競技会は天気次第なところがあり、今回は2日間フライトすることはできませんでしたが、スタッフのベストを尽くした御もてなしに皆さん楽しんでいただけたものと思います。




この大会は毎年続けられる記念すべき第一回大会です。第2回では選手の皆さんに川根の空を満喫していただきたい!スタッフ一同お待ちしております。

ありがとうございました。



投稿者名 宮田 歩 投稿日時 2018年09月01日 | Permalink

タイ Khaosadao XC camp 2018


プロローグ
東南アジア屈指のXCエリア、タイ国カオサダオエリアで開催されるイベントに参加です。250KmのタイXC記録をブレークすることはもちろんですが、アジア各国のパイロットと交流を深めることがもう一つのミッションです。近年、アジアでのパラグライダー愛好家は経済発展と共に急増しています。将来は日本にも飛びに来ていただけば。そんな夢も描きながら先ずはガツンと記録更新を狙います。



4月7日 Day1
今回は地元、静岡空港から出国。アシアナ航空でソウル経由バンコクへ。やはり、静岡空港は便利!川根町からは車で40分。駐車料金も無料!まだ海外便も少なく、出国審査もガラガラ。いつもの長蛇の列でのストレスはなく、気持ち良く出国となりました。バンコクのホテルに到着は日付が変わり深夜1時。即爆睡でした。


4月8日 Day2
今回アテンドいただいたのは、タイ在住の日本人ヒロさんと奥さんのWiさん。ハイエース3台もチャーターしていただき、かつてない豪華なサポート体制です。昨日通過した前線の影響で、本命のカオサダオは北東風が強く飛べないとのことなので、東風で飛べるカオデンに移動することになりました。午後には到着しましたが風は強く、夕方まで待ちましたが、地元パイロットが飛んでいるのを見学。我々は無理せず下山。強風にもかかわらず、巧みにグライダーをコントロールし、果敢にテイクオフする地元パイロットに感服。



4月9日Day3
今日もカオデン。強かった東風も、午後から収まりタイ初フライト。高度差300mほどのカオデンエリアですが、サーマルは十分。800m付近の逆転層は強く、下層は荒れていましたが、平野部に出ればサーマルも大きく飛びやすい。20Kmほど西にある大きな湖の脇までプチXC。地上サポートチームとの連携も確認でき、ウォームアップには丁度良いフライトとなりました。



4月10日 Day4
風は弱まったものの、タイ国中部のバンコク周辺の風は東風。やはりカオサダオは飛びにくい風向きのため、今日までカオデンで飛び、夕方からカオサダオへ移動プランとなりました。

今日のカオデンは朝から何やら大勢の人が・・・。どうやらパキスタンの映画会社の撮影で、パラグライダーで飛び立つシーンの撮影があるとか。しかし、わざわざタイまできて撮影しなくてもと思われますが、それだけ規制が少なくやりやすいのでしょう。さすが微笑みの国タイ!

さて、フライトはというと、今日も下層は強めの東風。上層の南風に乗って北上。バンコクへ向かうジャンクションがゴールで、そのままカオサダオへ向かう作戦となりました。平野部は積雲もできず、サーマルトップも1200mほど。難しいコンディションでしたが、何とか手前までたどり着き自分の中ではコンプリート。やっとタイの暑さにも体が慣れてきました。

しかし、本日本当のクロスカントリーはここから始まるのでした・・・。タイの正月に当たる今週、大都市バンコクから地方に帰省される方で幹線道路は大渋滞!バンコクの渋滞は半端でないと聞いていましたがここまでとは。カオサダオに着いたのは日付が変わって2時!ドライバーの皆さんお疲れ様でした。

さあ、明日から本番です!



4月11日Day5
さあ、今日からカオサダオXCイベントスタートです。カオサダオはバンコクから北東に250Kmに位置し、高度差300mほどの単独したテーブルマウンテン南斜面にあります。ランディングは広大なタロイモ畑。テイクオフも整備されていてスクール生も安心して飛べる環境です。

先ずは、10時のブリーフィングから参加。主催者のカプテンは昔PWCで一緒に飛んだことがあり、エリアの250KmXC記録保持者でもあります。タイらしいのんびりとした雰囲気の中、エリアルールと注意点が説明されました。

10時には徐々にサーマルブローが入り始め、練習生からフライト開始。自分は暑い中、ゲートに並ぶことを避け、早めにテイクオフ。本流の裏風が入るリーサイドコンディションでしたが、運よくヒット!得意の昇竜拳でサクッと涼しい雲底に付けて上空からコンディションの変化を待ちます。テイクオフは本格的に裏風が入り始めたのか、テイクオフできないようです。早めに出といて良かった。

さて、当初1800mだった雲底も12時を過ぎるころには逆転層もブレーク!2200mまで押しあがったタイミングで北方向へ単独スタート。広大な大地には、耕作されたタロイモ畑、天然ゴムのプランテーション、水田が広がっています。昔は全部ジャングルだったのだろうなあ。そんなことを考えながら、フラットランドへグライディング開始。

高度があるときは積雲を追いかけ、低くなったらサーマルトリガーとなる点在する町。フラットランドのセオリー通りに発生するサーマルを拾いながら、今日の目標である150Km先の町へコマを進めます。風はほとんど無風のためスローペースでしたが、今日は何時までサーマルが続くかの調査もあり、とにかく夕方まで空中にいることにしました。

15時を過ぎるとコンディションは急に良くなり、雲底は2500m。サーマルも地表から順調に雲まで続くものに変化。80Kmを過ぎたところでも、やはり南風は吹きませんでしたが、やっと巡行スピードが上がってきました。

16時を過ぎてもサーマルは活発。そろそろ回収されやすい幹線道路を選択しながらのフライトになります。そして17時を過ぎたところで良さそうな村に降りることに。6時間のフライトでたったの135Kmでしたが、このエリアを調査するミッションは完了。楽しめました。

https://airtribune.com/5190/tracks__175258

明日は強めの南西風が期待できます。250Kmの記録をブレークするチャンス!準備は万端です。



4 月 12 日 Day6
さあ今日から本当の挑戦が始まります。本流は下層から上層まで南西風。気合を入れて今日も最初に 11 時にテイクオフ。

幅広いレベルのパイロットに XC を楽しんでもらうイベントですが、始めの渋いコンディションでは、テイクオフ前が込み合い大変なことに・・・。ちょっと技術の差がありすぎ、ちょっと危ない局面はありましたが、宮田は西の端で雲底をゲット!セカンド集団でスタート。

今日のコースイメージは、昨日よりも東側コースに形成されるクラウドストリートまでたどり着き、東北東の方向で距離を延ばすプラン。前半はイメージ通りに東に進みますが、風向きが予報に反し、南東風。これでは風に逆らいスピードに乗れません。しょうがなく、昨日のコースに修正し、雲のないブルーエリアを一人修行旅となったのです。

フラットランドの単独 XC は、降りることはないにしても、サーマルの強いところに入るのが遅れ、やはりスローペースになってしまいます。何度か低くなり、いよいよ気まずい雰囲気がする頃に、今日も来ました神の使者!ピンチになったときに、どこからか現れるソアリングバード!しかも、今日は 30 匹ほどの鶴のような渡り鳥の大群が「ハイ!こちらでございます。」とばかりにガーグルとなり、あっという間に2300m の雲底まで引き上げてくれました。タイの神様今日もありがとうございます。

さて、後半は風向きも上層風が南西風に落ち着き、対地速度 60Km/hほどで、昨日より少しはペースが上がってきました。積雲もランダムに広がるようなり 100Km 地点通過で15 時。コンディションも雲底 2500m まで押しあがり、さあこれからが勝負!スピードを上
げていきます。

16 時を過ぎ、太陽が傾いてきてもサーマル活動はまだまだ活発。夕方特有の穏やかな対流に、そろそろ疲れてきていますが、なんだか癒されます。17 時を過ぎても 1500m ほどの高度で下がらず上がらず、距離は伸びていき、ついに夕陽を見ながの至福のファイナルグラド。

https://www.xcontest.org/…/fli…/detail:ayumu/12.4.2018/04:08

降りてみると小さな村でしたが、たくさんの村人の大歓迎を受けることに!まずは家までスーパーカブのサイドカーに乗せていただき、村まで凱旋。「まあ家まで来て休みなさい」とばかりに案内され、シャワーを浴び、夕食までご馳走になりました。

村始まって初めてのジャパニーズだったようで、熱烈歓迎!村中の人が集まってきました。言葉は通じませんでしたが、写真を見せたり、ボディランゲージでコミュニケーションは通じました。回収車が来てくれたのは 23 時近くでしたが、タイの田舎で、素朴な方々との交流ができ、素晴らしいウルルン体験でした。

今日も 6 時間以上飛びましたが、距離はたったの 200Km。コース選択に改善の余地はあり
ます。

明日こそ250Kmの記録をブレーク!まだチャンスはあります!





4月13日 Day7
今日も快晴の朝です。イベントは週末まで続きますが、我々のチームにとってはカオサダオ最終日。記録更新へのチャレンジも今日がラストチャンスとなります。

天気は東から近づく低気圧の影響か、少しづつ大気は不安定になり、夕方にはどこかでサンダーストームとなる予報。夕暮まで飛ぶ場合は、積乱雲に注意しなくてはなりません。しかし、大気が不安定な分、大気対流は大きくなりサーマルは活発化、我々には追い風となりそうです。

今日も11時にテイクオフ。やはり昨日までのサーマルと違い1800m の雲底まで逆転層無し
。スムーズに上がっていきます。これは良い兆候!11:30には雲底2000m まで押しあがったところでスタートです。

積雲の雲頂高度も2500m を越え、場所によってはご立派な雄大積雲にまで発達しています。これは調子に乗って雲底まで上げると吸い込まれてしまいそう・・・。うまく吸い上げリフトを利用し、約15Km ほどのトランジット。前半から良いペースで進みます。

今日は記録狙いがミッションのため、コース取りは追い風が利用できる様、シンプルに対地速度が最大になる方向へコースを取ります。幸運にも積雲はコース上にランダムに形成され、この3日間で最も良い感じで100Km をパスし時間も14時。このペースでいければ250Kmブレークのチャンス。ちょっと気持ちが浮つき始めてきました・・・。

110Km を越えたところであれだけあった積雲はなくなり、コース上はブルーエリア。選択肢は2つ。時間はかかりますが、遠回りですが東へ大きく迂回し、手堅い積雲コースに戻るか?それとも、記録狙いのために男は真っ直ぐ、雲のない試練のコースへ勝負に出るか!?

ここはやっぱり男を見せねば!勝負に出ることにしました。まだ高度も2000m。雲がな分、地表近くのサーマルトリガーを探し、グライディングは続きます。対地速度が最大に出る方向で、トリガーとして可能性が高い場所の上を通過していきますが、上昇はありません。どんどん高度を損失し、いよいよ気まずい雰囲気・・・。

昨日までなら、ここで神の使者が助けに来てくれるはずですが、今日は鳥も飛んできません・・・。こうなれば神頼み!とばかりにタイらしいキラキラの仏閣上空にラスト勝負!

無情にも安定した下降気流しかなく、あえなく撃沈。今回のカオサダオ XC チャレンジは終了となりました。ランディング後、村の周辺の田んぼを見ると田植えの準備中。通常トリガーとなりうる村が、水に囲まれて熱吸収が悪い。それはサーマルもでないのが簡単に想像できます。過去の多くの失敗から学び、油断は禁物だったはずですが、今回もやはりやってしまった感じです。

https://airtribune.com/5190/tracks__175637

暑さを避けるため、お寺の庭先でグライダーをパックしていると、今日の第一村人となるお坊さんが寄ってきました。タイ語で一生懸命話しかけてくれるのですが、もちろんさっぱり理解できず。困った顔をすると、笑顔で手を合わせ、「遠くからよく来なさった、ここで休みなさい」とばかりにテレパシーで返してくれました。さすがタイ僧侶!心通わせていだだきました合掌。

さて、回収を待って村の商店で暑さをしのいでいると、今日も多くの村人が集まってきました。店主は水やバナナをくれ親切。村人が来るたびに、同じ写真を見せ、「迎えが来るから大丈夫!」という説明を繰り返します。今日もウルルン体験。

記録はブレークできませんでしたが、久しぶりに燃え尽きた3日間となりました。フライトタイムは16時間と飛行距離は450Km。自分なりにアタックしたフライトに、競技を休止した2年間のブランクも一気に埋まった感じです。



4月14日 Day 8
昨晩 XC フライト後、そのままバンコクへの移動で皆さんお疲れ気味。今日はゆっくりバンコク観光となりました。観光と言っても都市部ではなく、一般人が行けない所ということで、船でバンコクの下町!水上住宅へ GO!

途中、道端で売っているドリアンを遂に食するチャンスが!!!その風貌と匂いのイメージから心の準備をしていましたが、新鮮なドリアンは匂いもフルーティ。そしてその味は!?濃厚なプリンのような味わい深く、さすがフルーツの王様!あまりの美味さにタイに来て一番のショックを受けました。

さて、目的地の水上住宅に到着し街の中を徘徊。テレビで見た通りの東南アジア特有のエネルギッシュな街に感動。水上住宅は入り組んだ運河を渡船が走り回ってます。イタリアの水上都市ベネチアを彷彿とさせますが、そこはやっぱりタイランド!決してきれいとは言えない泥水の上に普通に生活している人々、そして家の下には全長2mは凌駕する巨大なワニ?トカゲ?が普通にうろうろしていました。タイのショックランキングであっという間にトップ更新


夕食後は宮田のリクエストから本場タイの格闘技ムエタイを観戦に。地方の草大会かもしれませんが、リングサイドでの観戦は迫力がありました。そして、試合も佳境に入ると、興奮した観客は柵を乗り越えてリングサイドへ乱入!誰がセコンドかわからなくなる状況も面白かったです。さすが本場タイ!夜遅く続いた試合に観戦も体力が必要でした。



4月15日 Day9
今日はバンコクの南東部にある有名なリゾート、パタヤビーチの側にあるエリアを訪問。
安定した南風でスクールが講習をする場所として使われているいます。

リッジソアリングができるほどの風が強まらず、グランドハンドリングだけとなりました
が、綺麗な海を見ながらタイパイロットへライズアップ講習をさせていただき、のんびり交流を深めることができました。

タイパイロットのビアーさんは、タイ国モータースポーツ界のレジェンドドライバー!国内スーパーバイククラスとレーシングカーのチャンピオン。日本のレースにも来るそうです。凄い人とお会いできてよかった。



4月16日 Day10

長かったタイ国滞在もついに最終日。アテンドいただいたヒロさん、Wiiさんの計らいで最後はちょっと豪華な打ち上げ食事会。食事は屋台から大衆食堂、そして高級店まで。そしてタイ特有の南国フルーツ!日本では決して食べられない、初めての食材、素晴らしい料理もすべて美味しくいただくことができました。

そして、空港への帰りに、イベント主催者のカプタン宅を表敬訪問。タイ航空の機長でもある彼の大豪邸は、マンゴーがいっぱいで南国の楽園イメージ。カオサダオでのXCイベントは来年も開催予定していただけるそうで、また来ることを約束し帰路に立つことになりました。





エピローグ
フライトだけでなく、タイ国を様々な角度から体験、紹介いただけ非常に良い経験となりました。思うと過去、競技会かフライトツアーでしか海外へ出ていませんでした。こんなにフリーな気持ちで、純粋にフライトや旅を楽しめたのは初めてです。ヒロさん、Wiiさん、そしてタイ国の皆さんに本当に感謝です。日本にもタイパイロットやツーリストを招き恩返しをしたい!次のミッションとなります。

最後に、唯一覚えたタイの言葉「コップン・カープッ!(ありがとう)」合掌。



投稿者名 宮田 歩 投稿日時 2018年04月17日 | Permalink