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Thailand XC Camp 2019



プロローグ
タイ カオサダオで開催されるXCイベントに今年も参加です。XCの高いポテンシャルはもちろんですが、素朴で優しいタイ人の魅力に引かれてしまいました。今回のミッションも250Kmのタイ記録をブレークすることですが、アジアから集まるパイロットと交流を深かめ、日本に(川根)に来てもらえるコネクションを作ることがもう一つのミッションとなります。

しかし、今回は出発から波乱が…静岡空港での最初の便が遅れ、上海での乗り継ぎはもちろん乗れず。深夜の上海空港で路頭に迷いそうになるも、何とかホテルに滑り込み一日缶詰。4月だというのに極寒の上海を満喫!?できました。

丸一日遅れとなりましたが何とか、目的地まで到着。珍道中の始まりを予感させます。




Day1
移動でのハプニングから、初日のエリアKhaoDeanに到着したのは6時!10時まで仮眠していよいよフライト開始。

初日ということもあり、暑さに体を慣らし、機材のチェックやサポートチームとの連携を確認することがミッション。そして、メニューは30Km北上したゴジラ山を目指してプチXC。メンバーみんな良い ウォームアップとなりました。

https://www.livetrack24.com/track/1400274

フライト後はバンコクの大渋滞を味わいながら、本命のKhao Sadaoへ移動。ゆっくり休んで明日から勝負です!



Day2
今日から本命となるKhao Sadaoでフライトです。毎年行われているXCフリーディスタンスのイベントも今年で4年目。今年も世界中から多くのパイロットで賑っています。

初日の今日は、受付後にフライトに関するブリーフィング(説明会)が行われ、新たに設定された飛行禁止空域の説明がされました。初日ということもあり、先ずはエリアになれることがミッションです。

テイクオフは海抜500m、高度差300mほどのテーブルマウンテン。南風が吹けばまずリッジソアリングで空中に待機でき、簡単にソアリングが可能です。雲底2000mまで上昇したら北方向へXCへ出発です。見渡す限り耕作された畑が広がり、10Kmごとに村が点在しているため、道もあり着陸後は安心です。

今日は50kmを越えたところから西風が強まり、苦戦します。宮田は西風を警戒しすぎ、ぎりぎりAirspace西の端まで向かい風の中進みますが、あまりの強さにギブアップ。大きく風下側に戻り回収道路沿いにランディング85Kmでした。
https://www.livetrack24.com/track/1400793

我々日本人チームも50Kmから100Kmの間に無事にランディング。そして、ランディング後もタイらしいウルルン体験がまっていました。光太郎君は地元警察署まで連行され、署長を表敬訪問。なっちゃんは村のお祭りステージで一曲歌い、カメちゃんは村人と宴会。皆さんランディング後のタイ式熱烈歓迎も楽しめたようです。

明日は大気が不安定予報。これが吉と出るか!?





Day3
昨日に比べ大気は不安定で夕方にはサンダーストーム予報。夕方にはどこかで積乱雲が発生し注意すべし!と言うことでしたが、ここ数日のサーマル活動の弱さにこの不安定度が必要に感じます。さて、吉と出るか!?

テイクオフ周辺は予報に反して、激渋コンディション。我々メンバーを含む多くのパイロットがぶっ飛んでしまう状況で何とかXCスタート。

今日も50Kmを越えるまで3時間もかかり超スローペースでしたが、14時を越えたころからコンディションは次第に良くなり雲底も2300mまでしっかり上がるようになりスピードアップ!

サンダーストームの気配はなく16時を越えるころから雲底は2500mを越えるようになり、17時を過ぎると2700m!風向きも南風12Km/h。40分の至福のファイナルグライドの後、エアスペース手前ギリギリと回収道路わきにランディング。距離はほんの170Kmでしたが、一日のコンディションを使い切った満足なフライトでした。

https://www.xcontest.org/…/fl…/detail:ayumu/13.04.2019/04:27

明日も似たような予報です。やっと良い感覚が戻ってきました。少しスピードを上げていきます。




Day4
今日は昨日以上にサンダーストーム(積乱雲)に注意予報。確かに雲多めですが、なんとか晴れて今日も良さそう。朝から昨日の反省とシミュレーションはバッチリ。万全の体制で臨みました。

強めの風のため、みんな早めにテイクオフしていきます。なのに、日照が弱く1000mの逆転層がなかなかブレークしません。テイクオフ周辺はカオス状態。様々な技量のパイロットが混在しちょっと危険でしたが、何とか抜け出し1400mでXC出発!

平野部に出てみると、コンディションは十分整っていて、いつものタロイモ工場上空で2000m。雲もランダムに形成されています。これはいける!シミュレーションコースを一人スピードバーを踏み込み、加速装~置!一般的にXCは何人かで飛んだ方が効率が良いんですが、今日は何人たりとも前は飛ばさせね~!っとばかりにカッとばしてみました。

100Km付近でコンディションの良くなる15時を迎え、西寄りのコースでベストポジション。これは200Kmオーバーが見えてきました。ところが遥か西側に発達した積乱雲が、最後の熱供給となる夕陽をシャットアウト…。コースは積乱雲の影が大きく落とされ、先ほどまであったクラウドストリートを消滅させてしまったのです…。

ジリ貧状態で低いリッジに張り付き、よわーいアーベントテルミックでだましだまし距離を伸ばし、最後はジャングルの野焼きサーマルへ突入!煙に巻かれて168Km。7時間近いフライトでしたが、新しいコースを自分なりにアタックでき、充実したフライトでした。

https://www.xcontest.org/…/fl…/detail:ayumu/14.04.2019/03:56



Day5
昨日にも増して、サンダーストーム予報。今日は記録よりも安全に飛ぶことをミッションに、できるだけグループで飛ぶことを心がけました。

いつものテイクオフ周辺は渋いコンディションでしたが、光太郎を残し、他のメンバーはXCへGo !平野部に出ると、ご立派な積雲がにょきにょきと成長していくのが確認できます。その分サーマルもたっぷり。雲の下では期待通りの強いサーマルが待ち受けてくれます。

調子に乗ってドンドン北上できるのですが、北東方向の雲から雨が降りだしてくるのが見えます。うまくすり抜けられるかも!?甘い誘惑に負けそうでしたが、我々は無理せず早めにセーフティランディング。その後やっぱり積乱雲まで発達しゴロゴロと雷鳴も聞こえ、納得の撤退となりました。

明日はKhao sadao最終日。ラストチャンスは完全燃焼できるように準備を整えます。



Day6
Khao sadao最終日。適度な不安定な大気でサンダーストームのリスクも今日は少ない最高の予報。唯一追い風が弱いのが気がかりですが、思い切って飛ぼうと心に決めてスタート!

今日も前半は、グループで飛ぶことを心がけましたが、なかなか足並みがそろわず。一人づつ脱落していきます。それでも臆せず生き残ったメンバーでアタックを続けます。今回、最高のコンディションを感じながら、良いペースで進みすぎてしまい最後は一人旅。

巨大な積雲が大きな町の上に鎮座しているのを見て、迷いなく突っ込みますが、衰退期に転じていたのか上昇風は不活発。そのまま撃沈してしまいました。記録ブレークの気配があっただけに、気持ちが先に行ってしまったようです。それでも攻めた結果に悔いはなし。

今回のKhaoSadaoは5日間すべて飛べ、メンバー全員がXCを楽しめたイベントとなりました。この素晴らしいエリアでのXCイベントを、来年以降続けていただけるようにみんなでルールを守り、ビックフライトとセーフティランディングでスタッフに恩返ししたいものです。
イベントスタッフの皆さまありがとうございました。



Day7
昨晩中に350Kmの大移動を経て、再びKhaoDeanに戻ってきました。今日のゴールは北北西へ110Kmにある、カンチャナブリまで飛んで行き、映画「戦場にかける橋」の有名な橋を空中から見ること!メンバーかなりお疲れですが、目標があるとモチベーションも上がります。

宮田テイクオフで靴を忘れたことに気づき、しばしウェイティング。その分テイクオフが遅れ、熱風は強まりサーマルは立ち上がりません。何とか他のメンバーを追いかけますが、全員途中で撃沈!

しかしランディング後、パッキングが終わったところで今日も現れました神の使者!!何処からともなくスーパーカブに乗ったお兄さんが現れ、全く通じないタイ語ですが、町まで送ってくれました。コップンカー。

村の中にはフルーツ屋台があり、大好物のドリアンやマンゴーをたっぷり味わうことができ今日のタスクは大満足にコンプリート。コンビニでは面白いおじさんToyさんと知り合うことができ、良い出会いもできました。

明日はいよいよタイ最終日です。明日こそ橋まで飛ぶぞー!



Day8
いよいよタイでのフライト最終日。今日もKhaoDeanから戦場にかける橋を目指します。昨日の反省から11時にはスタートしようと宮田から早めにテイクオフ。

テイクオフ周辺は1000mの逆転層がなかなかブレークしません。全員が空中に出たころから徐々に南風が進入し、それがトリガーになり、光太郎、Wiさんともやっと合流、2000mの雲底からスタート!

大気は十分に不安定で、コース上にはご立派な雄大積雲が発達し、これは積乱雲までいっちゃいそうです。慎重にコースを定め北上していきますが、雄大積雲の風下側はぽつぽつと雨が落ち始め、それと一緒に大きな下降気流が…。Wiさんから「アメいっぱいダヨ~」との無線が。「気持ちイイネ~」などとお気楽に返事していたのですが、下降気流帯から見事抜け出せず、2人してそのままランディング。頑張った光太郎君も近くにセーフティランディング。
カメちゃんとNoiさんが80Kmと頑張り、最終日を盛り上げてくれました。

フライト後は通称ゴジラ山へ観光へGo!溶けだした石灰岩が巨大な洞窟を作り出していて、中に入ると、まるで映画のセットを見ているかのような圧倒感!今回のタイのショッキングランキング1位に躍り出ました。南浦さんはクライマー魂に火が付いたようです。鍾乳石の柱にアタック!



最後の晩餐は、シーフードレストランでタイ料理を満喫。飛んで良し、見て良し、食べて良し!3拍子そろった環境にまして、人懐っこいタイの方の親切に感動を受けながら最高のXCツアーになりました。

アテンドしていただいた、ヒロさん、Wiさん、Noiさん。ドライバーのポンさん、カーペンさん。温かく迎えてくれたタイの皆さんコップンカーップ!(ありがとう)

来年も必ず来ます!またおねがいしま~す。




投稿者名 宮田 歩 投稿日時 2019年04月19日 | Permalink

2017 Manilla XC Camp



世界有数のフラットランドエリアとして知られるオーストラリアManilla。今年もXCベストシーズンとなる2月に開催されるXCキャンプに参加してきました。Manillaは1998年にエリアオーナーでもあるGodfrey氏が335Kmの世界記録を樹立したことで一躍有名になりました。2007年にはFAI世界選手権も開催され、世界中からXC自己記録を夢見るパイロットが集まってきます。




XCキャンプのコンセプトは競技会ではなく、XC初心者からベテランパイロットが一緒に飛び、みんなで自己記録を更新することにあります。特に決められたルールはなく、毎朝行われる気象ブリーフィングをもとに、期間中に遠くに飛んだパイロットを称えられるアットホームなイベントです。出発前からManillaの天気予報は最高気温が40度を凌駕!?この熱波はサマールを押し上げてくれるのでしょうか?ワクワクドキドキしながらいよいよスタートです!




2月3日出国し、4日はシドニーからManillaまでロングドライブ。途中Tamworthで買い物を終わらせ、明日からのフライトに備えました。




2月5日
しかし、暑い・・・。まずはこの気温差に体を慣らすことから始めることにしました。昨日、気圧の谷が通過したようでエリア周辺は北風。コンディションの好転に合わせサーマルブローが強くなっていきます。初日我々のミッションは16Km離れたManillaの町まで飛んで帰ることです。3人がミッションコンプリート。他のメンバーも機材、無線のチェック、地上回収チームとの良いシミュレーションができました。




2月6日
今日も北風ですが、昨日より風は弱く、サーマルトップも上がる予報。今日はManillaを越え、Tamworth管制空域手前のAttunga(35Km)まで飛んでManillaまで20Km戻ってくるコース。スロースタートの我々は最後にテイクオフ。先発組はAttunga 手前まで、明けちゃんは2000mまで上げてManillaまでリターン達成!リフライトした後発組もManillaの宿まで飛んで帰ることができました。明日から南風!BBQで鋭気を養いました。





2月7日
いよいよ待望の南風です。念入りに作戦会議後に風が強まる前にテイクオフします。テイクオフのあるボラ山周辺のサーマルトップは低く苦戦しますが、30KmのBarrabaからコンディションは好転し、サーマルトップは2500m。発達した積雲を迂回するように順調に北上します。70Kmを越えるあたりから、北へのコース上にはご立派な雄大積雲が!?90Km地点では雨のカーテンが見えます。皆さん無理せず80Kmの回収道路に無事ランディング。雲さえ発達しなければみなさん100kmは飛べた日でしたが安全第一。初XCの川合さんも80Kmと頑張りました。今日のトップはミドリちゃん81Km!その他の方も自己記録更新です。






2月8日
東風で西方向のNarrabri(95Km)まで行くとサーマルトップは3000mのスーパーコンディション予報。我々のチームはいつもの早めにテイクオフ。ボラ山周辺は1300m付近にある逆転層にふたをされ風が強くなかなかスタートできません。何とか西にこぼれたリーサイドで上げた3名はそのまま出発!残りのメンバーは無理せずリフライトはキャンセル、休養日とすることに。40Km地点に香田さん。飛ばしすぎたミヤボンはNarrabriで雲を追い越し99Km。良いグループで飛べた明けちゃんはNarrabri先で3000mのクラウドベースをゲット!順調に距離を伸ばします。回収チームも地上から追走します。18時を過ぎても太陽は高く、まだまだ積雲はしっかりしています。18:45まで飛んだ明けちゃんは243Kmまで距離を伸ばしました!最も飛んだ地元パイロットは301Km!!凄い!





2月9日
予報は南風ですが、今日もボラ東風。テイクオフの風は弱く、早い時間から1500mまで上昇!これは良さそうです。作戦会議では北上する予定でしたが、ほぼ全員が西に向かうのを見て、我々も西へ追従します。サーマルトップ2600mとコンディションは今日も最高!!しかし、雲底は寒い!地表は地獄のような暑さなのに・・・。あまりの寒さに昨日頑張った明けちゃんとミヤボンは30Kmで早々にギブアップ。残ったメンバーでNarrabriを目指します。Gapを越えた50Km地点から南風が強まり、低い高さはサーマルもまとまりません。無理せず70Km周辺にみんなでランディング。今日のトップは最後まで飛んだミドリちゃん。北上したパイロットは今日も250Kmを越えていました。やっぱり北へ行くべきでしたコース選択ミス。






2月10日
今日も南風ですが、積雲はなく完全ブルーサーマル。これは難しそうです。テイクオフは強めの西風でしたが、東にこぼれればリーサイドの強烈なサーマルが出迎えてくれます。雲がないのでスピードは上がりませんが、じっくり行けば距離は伸びそうです。70Km地点から東風が入りコンバージェンス!サーマルトップは2600mまで押しあがりますが、悪いラインは大きくシンク。香田さん、みどりちゃんは60Km地点で無念のランディング。何とか生き残ったメンバーは順調に90KmのBingaraをパス!気を抜いたのかミヤボンはまたもや99kmに撃沈・・・100Kmの壁は厚かったようです。松美さんは105Km、植野さんは135Kmと念願の100kmをクリアーです。そして、エースパイロットの明けちゃんは19時まで飛び続け184Km!サンセットともに至福のファイナルグライド。皆さんおめでとうございました!




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2月11日
フライト最終日。コンディションは日に日に良くなり、本日のサーマルトップ予報は4000m!?風は弱く今日もスーパーコンディションでしたが、全員が順調に飛び始めたところで、アクシデント。ケガをしたパイロットをヘリコプターで搬送するため、今日のXCフライトは残念ながら中止となりました。アクシデントに備え、常に救助体制を整えているエリア管理者と地元救急隊には本当に感謝です。お世話になりました。




7日間、フライト日程すべて飛べた良い週に訪れることができ、参加された皆さんはほぼXC自己記録更新を達成することができました。コンディション次第では誰でも100KmのチャンスがあるManillaのポテンシャルに驚かされます。今年は記録的な高温のおかげか、素晴らしいコンディションとなったXCキャンプでした。また来年も訪れてみたいものです。

皆さん本当にお疲れ様でした。




投稿者名 宮田 歩 投稿日時 2017年02月14日 | Permalink