お勧めアプリ「XCTrack」とお勧めバリオ「SensBox」

2015年JPA競技会初戦となった「第12回 JPAパラグライダーカップ in 富士山」ナショナルリーグタスクにおいて、富士山頂から大きな半径でシリンダーが設定されました。南北に延びる花鳥山脈の往復の途中、平野部に設定されたこの大きなシリンダーをカットしなくてはなりません。平野部にあり、山脈と平行直線的となるシリンダーラインを何処でカットするのか?この選択が勝負の明暗を分けたようです。


パラグライダー競技についてもう一度考えてみましょう。決められたタスクを飛ぶにあたり、その日の気象コンディションを読み、最も効率の良いフライトをしたものが勝者となります。決して、グライダーの最大速度を維持することのみを競っているわけではありません。空中で多くの選択肢をパイロットに持たせ、その判断力を競うことにその本質があると言えます。

GPS複合機の進化により、ターンポイントの各サイズをそれぞれ設定できるようになりました。当初、安全のために使用された大きな半径のシリンダーでしたが、同時にいくつかのコースオプションをパイロットに選択させることを可能にしました。

現在、コロンビアで開催されている世界選手権においても、やはり大きなシリンダー半径が使われています。エリアの特徴はテイクオフのある南北のリッジ、平野部、丘陵地と複合的な地形を飛ぶところにあります。一般的なタスクは、前半南北のリッジを往復させ、その後、平野部へジグザグと飛び出していきます。タスクの最短コースは全くのフラットランド。コンディションにもよりますが、次のターンポイント中心へ真っ直ぐコースをとることは、リスクがあり得策とは言えません。しかし左右に迂回すれば、上昇風の可能性が高くなる僅かな丘陵地を飛べ、降りてしまうリスクを減らすことができます。このように、エリアの特徴を生かしたテクニカルなタスク設定も可能となるのです。

大きなシリンダーを持つターンポイントをナビゲーションする場合、その中心に向かってのみ飛ぶと、必ずしも効率が良いコース選択をしたことにはならないでしょう。地形、ターンポイント、シリンダーが表示されたマップ画面上でのナビゲーションができれば、正確にどのポイントでカットするかの戦略を事前に練ることができます。そして、空中でも次の離脱方向へも効率良くターンポイントをカットすることができるでしょう。

すでにこのような機能をもった複合機は、JPA競技会で採用されている集計ソフト「CompCheck」にも対応された「C-pilotPro」「FlymasterNAV」(地形は表示されません)があります。


しかし、このような複合機をお持ちでない方には、皆さんお持ちのGPS内臓Andoridスマフォまたはタブレットを使った無料アプリ「XCTrack」がお勧めです。


「XCTrack」にはそれ自体に簡易的なバリオ機能もありますが、競技フライトでは別にバリオを併用することが必須となります。ファイナルグライド計算の精度をさらに上げるためにもBuletooth4.0接続によるBrauniger「SensBox」を使用することをお勧めします。「SencBox」はそれ単体でも、バリオ、GPSロガーの機能がありIGCファイルを記録します。サブバリオ、バックアップGPSとしてもお勧めですね。


最後に注意点です。「XCTrack」によりスマフォ・タブレットに記憶されたIGCトラックログは、現時点ではJPA競技会集計ソフト「CompCheck」には対応しておりません。提出するトラックログは集計ソフトに対応したGPS機種により行ってください。

そして、GPS機能を有効にしたスマフォ・タブレットは、普段の使用よりも電力消費が大きくなります。大会中に「XCTrack」を使用する場合には、予備バッテリーを接続し、常に充電しながら使用することをお勧めします。降りた後にバッテリーが切れ、携帯電話機能が失われることは危険です。


投稿者名 宮田 歩 投稿日時 2015年01月21日 | Permalink