2014PWC Super Final Turky エピローグ
異常気象は今回のトルコも例外でなく、季節外れの寒気、雨、そして逆転層と、普段のコンディションとはなりませんでした。デイクオリティが1を超えたタスクは3日だけでしたが、そんな短期戦でも勝者は素晴らしいパフォーマンスを示しています。
厳しい条件での短期戦のなかで、若いパイロットが爆発的なアタックを成功させ、素晴らしい結果を残しました。多くのタスクが成立し、長期戦になって初めて成績が出る自分のようなアベレージパイロットは、全く歯が立ちませんでした。完敗です。
しかし、短期戦となるケースで何が必要なのか、気づかせられました。PWCは参戦するたびに、多くのことを学び自分を成長させてくれる場所です。次回に生かします。
ご声援いただきました皆様、ありがとうございました。
2014PWC Super Final Turky Day11
ついに最終日となりました。余計なことは考えず、フルアタックすることに集中します。最終日にもかかわらず91kmの今大会最長タスクが決定しました。前半天候が悪かっただけに、最後までしっかり飛んでもらおうとの配慮を感じます。
サーマルトップは2500mとコンディションは十分。最終タスクということもあり、全選手がアタックします。中盤のターンポインの折り返しで宮田はほぼトップポジションをキープ。終盤のスパートに備えます。
平野をヘッドウインドで西に戻り、台地の上のラストターンポイントを目指します。先頭を引っ張るのは昨日のトップ、ヤッセン。単独アタックし続けます。宮田グループは弱いサーマルを捨てやや南を進行し台地にアタックを掛けます。
ところが台地の上は強烈な西風の吹き降ろしが待っていたのです。強いシンクと対地速度は一桁に!慌てて平野部に引き返します。後続の高かったグループは何とか台地にのったものの、ランディングを余儀なくされていくのが見ます。そして、宮田を含む、引き返した組も強い西風に撃沈・・・。
しかし、フランスの若手パイロットたちは、果敢にアクセルを踏みしめ、次の丘を越え、ついにターンポイントをゲット!ゴールに消えていきました。不可能を感じたときに、少ない可能性に爆発させる力は凄い!今日も完敗でした。
自分のするべきことは、すべて試した結果に悔いはありません。しかし、今年のフランスチームの若手の飛躍は素晴らしいと感じました。どうやったら20代の強い若手選手が生まれるのか不思議です。日本も協会、業者が同じコンセプトで、長期的に育成しなくてはならないと感じました。
2014年PWCSuperFinal優勝はマキシム。2位はオノラン。3位はジュリアン。表彰台をフランスチームが占めました。女子は日本勢が2位平木さん、3位サトユキさん。5位廣川絵美さんと日本勢が頑張りました。
2014PWC Super Final Turky Day10
快晴。テイクオフに着くと風も弱く、すでに小さな積雲が確認できます。今日もよさそうです。前半テイクオフのあるリッジ沿いに北上し、東の平野へ出ていく80kmのタスクが決定。平野に出てからが勝負となりそうです。
スタート前のクラウドベースは2600mを超えました。低い逆転層はあるものの、これだけ上がれば問題なさそうです。さあスタート!
前半、大きな差はでないもののPWCらしいハイスピードでレースは展開します。そして、中盤の平野に出てから、集団はばらけてきます。最短コースを単独で突き進む数名と、風上を選択する組。宮田は最短コースに行きたいのですが、リスクが大きく判断を踏み切ることができません。結局その中間を選択します。
ゴール手前40km付近、完全に平野でサーマル活動が弱く集団はスローダウン。弱いサーマルにしがみ付き、もどかしく立ち上がるのを我慢します。最短コースを突き進んでいた数名が、はるか雲底につけてトランジットを始めているのが見えます。やられた・・・。何とか上がり始めましたが、焦り始めます。
残り20km。小さな町からの上空に積雲が形成され始めました。やっと強いサーマルをヒット!!雲底近くまで上がりますが、なぜか残り100mが上がりません。GPSの示すゴール余裕到達高度は+10m。宮田は勝負に出ます。良いラインをイメージしながらのグライドでしたが、大きくシンク。高度は大きく損失し、さらにもう一つサーマルが必要となってしまいました。
大きく蛇行を余儀なくされましたが、何とか弱いサーマルを引っかけ、ファイナルグライドに突入。ところが、無情にもゴール手前からは上がり続け、高度は500mも余りゴールカット。難しい・・・。
単独、最短距離で突き進んだ、ブルガリアのヤッセンは2時間7分。2位以下に10分以上の差をつけたぶっちぎりの速さを見せました。完敗です。
明日は最終日です。悔いなく攻めます。
2014PWC Super Final Turky Day9
トルコらしい快晴の朝ですが、数日前のような寒さは収まってきました。やっとPamukalle本来のコンディションになってきていることを感じさせられます。10:00の集合の後、1700mのメインテイクオフへ移動となりました。
弱い北風ですが、南風ブローが上がってきています。絶好のコンディションにビックタスクの噂も流れましたが、テイクオフから北へ延びるリッジを往復し東の平野へゴールする76kmが決定しました。
13:00のウインドオープンから選手は次々と空中へ。テイクオフ前で溜まることはなく、サーマルトップ2500mへスムーズに上がっていきます。ここで、宮田は今日もトラブル発生。ライズアップの際にブレークラインを切ってしまいます。慌てずトップランして、ラインをつなぎ、スムーズにテイクオフ。事なきを得ました。
2500mから一斉にスタート。最初のターンポインとまでは大きなつかず、いくつかの集団で抜きつ抜かれつレースは展開します。ドラマがあったのはレース中盤のターンポイント3でした。トップグループは台地上の岩山東斜面へ、セカンド集団は西斜面へ分かれます。
宮田は台地上、日の当たる西斜面を狙います。しかし、強い西風によりまわり込むことができず、吹き降ろしにつかまります。なだらかな東斜面を転がるように、谷まで逃げ込みます。台地の上には数名が下りていくのが見えます。これは大ピンチ!!
東の谷まで逃げ込むと、ここで奇跡が!!バレーウインドが吹き上がっており強烈なコンバージェンスとなっていたのです。もみくちゃになりながら2400mまで一気に復活することに成功!先行している集団は山回りで低くスタックしているのが見えます。良いラインを選択できればゴール届くかもしれません。
上空の西風に下層の南風がもぐり込み、作り出されたコンバージェンスラインは穏やかな上昇風帯を作っていました。低く先行しているパイロットが、センタリングしている様子から、なんとなく良いラインがイメージできます。あとは回さないでグライドに集中します。ファイナルグライドカリキュレーターは‐50m表示。ゴールまで残り20km。少しでも良いリフト帯にヒットすればこのまま届くかもしれません。目を凝らしてリフトのサインを探します。
直線的にゴールに向かうのではなく、風上となる少し西側をトレース。余裕到達高度が100mを表示した時点で、そのままゴールへなだれ込みます。幸運にもESSシリンダー手前からは上がり続け、200mの高度を残しフィニッシュ。納得のファイナルグライドでしたが、トップから15分も遅れています。
写真はゴールラインをギリギリの高度でカットする青木翼選手。
残り2本。攻めるしかありません。