ManillaXC Challenge 2019


南半球が真夏となるこの時期、今年も世界有数のフラットランドエリア「Manilla」でXCフライトに挑戦です。

「Manilla」はエリアオーナーでもあるGodfreyWeness氏が1998年に当時のXC世界記録335kmを樹立し一躍有名になりました。テイクオフは高度差300mのBora山。テイクオフは北風以外の風向きに対応しており、トップランもできるほど十分な広さがあります。その日の風向きに合わせた、XCコースが選択でき、それぞれの方向に延びる道路に沿ってXCフライトを行います。

先週400Kmのエリア記録が更新されたばかり、モチベーションも上がります。宮田自身も自己記録更新をミッションに本気でチャレンジです!



ManillaXC Challenge Day1
フライト初日となった今日は風が弱く、大気は不安定。初日ということもあり、体を慣らすべくオーソドックスな北方向へ飛び、空中でのチームフライトと地上班との連携を確認することになりました。

11時には東テイクオフ準備が完了しましたが、テイクオフ裏ではダストデビル(小さい竜巻)が連発・・・。あまりの乾燥具合と時折入る裏風によりテイクオフは危険な状況。無理せず西テイクオフへ移動し風が変わるのを待ちます。

12時にやっとテイクオフ。順調にソアリングできるのですが、遠くには発達した積雲が雨を降らせているのが見えます。急いで東側を通過し、北上。
30Km地点からはランダムな積雲が続くベストコンディションエリアへ入ります。雲底も3200m!しかし50km地点を越えると北風の向かい風に。なかなかスピードは上がらず、たまらず102km地点でリターンすることに。今度は追い風を背負いスムーズに南下。18:00を過ぎても夕方特有の安定した上昇風は続き、65Km南下し夕陽を見ながら至福のファイナルグライドで終了!

6時間30分も飛んで、たったの167Kmのアウトアンドリターンでしたが、一日のコンディションを最大限に使った充実したXC初日となりました。








ManillaXC Challenge Day2
気圧の谷通過により、北風強風+午後からはサンダーストーム予報。フライトは諦め。Manilla南西に位置するGunnedahにコース調査と買い出しへGo!

午後からはホームセンターでゲットした釣り道具で、宿裏の川でFishing。竿なしの仕掛けで山ちゃん鯉ゲット!さすがでした。そして、夕方には凄いスコール…農家には恵の雨となりました。

夕食はオージービーフで定番のBBQ。しっかり食べて、ゆっくり休んで体力を回復できました。明日は空気も入れ替わり、南風ベースのBigDay予報。400Km狙います!







ManillaXC Challenge Day3。
前線通過の南風で晴れ予報!いよいよ記録に挑戦日がやって来たぞ!ワクワクしながら朝起きてみると、寒ーい!昨日までの熱風が信じられないほど、慌てて上着を着て朝食。それでもそれなりのコンディションを期待してエリアに向かうと、地上からでも、ビッシとした逆転層がはっきり見えます。これは渋そう…。

テイクオフに着くとやっぱり寒い。そして見事な逆転層が確認できます。これは記録よりも何とか夕方まで飛ぶ修行だと、心に言い聞かせテイクオフ。飛んでみると予想通り、強烈なサーマルは上がるのですが、1500m付近に形成された逆転層のせいで蓋をされたサーマルトップは荒れ荒れ。しかも、昨晩あれ程雨が降ったと言うのに積雲ができる気配もありません。

そして、ボラ山北の端はいつもの難関。ギリギリの高度で北の平野部に低くこぼれましたが、リーサイドの弱い上昇風にしがみつき、忍法「手裏剣の舞」地を這うように、上がらず下がらずの場所をひたすら風下にセンタリングで流し、トリガーポイントではフォースを使って何とか復活。1800mでBarabaの町を越えました。

荒れたサーマル間は決まって強い下降気流が…。何度も降りそうになりますが、今日も来ました神の使者!何処からともなく現れるイーグルに助けられ奇跡の復活3回!アボリジニーの神様ありがとうございました。しかし、4回目はありませんでした…。いろいろ技を駆使しましたが、65Kmであえなく撃沈。

厳しいコンディションでしたが、ベストは尽くしました。そんな中、スカイ朝霧の山ちゃんは107Km!漢(おとこ)を見せました。大陸のコンディションは以外に読み辛く、奥が深い…。勉強になった一日でした。






ManillaXC Challenge Day4
気圧配置の移り変わりは早く、オーストラリア南を通過する低気圧の影響か北風が朝から強い…。風が落ち着くまでゆっくり作戦会議。しかし、対流が活発になるにつれて風は強まるばかり、40度を軽く凌駕するあまりの暑さに、こうなったら川へ泳ぎにGo!夕方風が落ちるまで観光に切りかえることになりました。

Manillaから東に20Kmほど山に入った渓谷にある「BlueHole」。町人のスイミングポイントとして知られています。その名とは全く違って青くない茶色い水ですが、オーストラリアの大地のエキスがしっかり染み出した、ミネラルたっぷりな自然のプールです。オーストラリアの大自然を満喫!

たっぷり楽しんだのち、夕方エリアに行ってみましたが、やっぱり風は強く、長くテイクオフで待っていたパイロット達も諦めて下山してきました。我々も無理せずフライトは無し。
夕食は、好評だったBBQ2回戦。今日も美味しかったです。





ManillaXC Challenge Day5
オーストラリア大陸南にあった低気圧は通過しましたが、中心に向かう気圧の谷は我々の滞在するニューサウスウェールズ州には居座ってしまいました。天気は最高なのですが北西風は収まらず…。数日続くこのコンディションが予報されているので、ManillaでのXCは諦め、飛べる可能性のある東海岸へ移動となりました。

Manillaから真東へ300Km。午後にはPortMacquarieへ到着。北東風強めで飛べませんでしたが、いくつも点在するビーチフライトできるポイントを見学。美しいビーチで大自然を楽しむオージー達に交じって波と格闘してみました。さすが波もオージーサイズ!たくさん海水を味わいました。

風さえ収まれば…。せっかく海に来たのでシーフードレストランでパワー注入!明日に備えます。





PortMacquarie Challenge Day6。
既にManillaを離れているので、チャレンジの名前変更。そして、今日もやっぱり強風。こうなったら次回に備え観光調査!今回、お世話になっているCloudbaseParaglidingのクラブハウスにある遊び道具を駆使し、いろいろなことにチャレンジすることにしました。


Mission1:「KoaraHospital」
近くにあるコアラの保護施設見学。無料でコアラをまじかで見学でき、動物好きにはお勧め。コアラの愛くるしい動きに、とっても癒されます。


Mission2:「Surfing」
低気圧で猛烈にうねっている近くのビーチへ果敢に再び挑みました。やはり今日は誰もやっている方がおらず、我々も命の危険を感じたので直前で引き返すことに。





Mission3:「CamelRiding」
これもあまりの強風のために体験自体がキャンセルに。代わりにラクダ牧場にて雑草を集めてどこまで近づけるか餌付けチャレンジ。ラクダは目がかわいい!そして、下あごのがビヨビヨしていて、触ると気持ち良かったです。


Mission4:「Fishing」
これは大成功!穏やかな内海の漁港でちゃっちー仕掛けで挑みましたが、いろいろな魚が釣れて入れ食い状態!特に巨大なエイ軍団が凄かった!雑魚はその辺をうろうろしている野生のペリカンへプレゼント、小型のクロダイは持って帰って食してみることに。



Mission5:「Cooking」
これも大成功!昼はさっぱり日本からの素麺。そして夕食は、釣ってきた魚をさばき、食してみることに。昨日の高級シーフードに負けないように頑張りました。Cloudbaseクラブハウスは自炊もできて最高の環境です。伊尾木シェフのシーフードパスタも絶品でした。とても美味しかったです。




CloudbasePGのクラブハウスで快適に過ごさせていただいてます。すぐ近くにフライトエリアが多くあり、ビーチもすぐそば。自分もこんな夢のクラブハウスを立てられるように頑張らなければ!モチベーションあがります。


Newcastle Challenge Day7。
いよいよ最終日となってしまいました。PortMacquarieから南下しながら、CoastFlyingで飛べそうな場所を探し、一路Sydneyを目指します。

先ず一発目は、PortMacquarieから15Km南に位置する海岸エリアBonnyHills。先日、石垣チームが訪れた場所で我々も朝一に立ち寄りましたが、なぜか雨が接近…。慌てて撤収!気持ちは飛べたので次に駒を進めることに。
2回戦目はさらに180Km南下したNewcastleBeachへ。到着するとすでにローカルパイロットが楽しそうに飛んでいるではありませか!地元クラブの方が親切にエリアの説明をしてくれ、ビジターを受け入れてくれました。オーストラリアらしい素晴らしい海岸段丘と美しいビーチ。そしてリゾートマンションでリッジソアリング。この飛べなかった数日のストレスを気持ちよく発散することができました。

3回戦目はSydneyの有名なBondi Beachへ!とさらに南下しますが、Sydneyの大渋滞にはまりタイムアップ。後ろ髪をひかれながら空港へ到着となりました。

今回のチャレンジはXC新記録ブレークという壮大なミッションでしたが、天候にも恵まれず達成することはできませんでした。しかし、その分、初めてのエリア、新たな人との出会いがあり、今回も充実した修行だったと満足しています。

記録は必ず来年リベンジすることを心に誓い、シドニー空港から帰路に立ちました。


投稿者名 宮田 歩 投稿日時 2019年02月25日 | Permalink

2019 台湾ツアー


SkyTECスクールツアーとしては初となる海外ツアーです!今回は日本が冬型気圧配置で風が強まりフライト確率の悪くなるこの季節。冬海外ツアーの定番、温かい台湾サイチャエリアへ七曲フライトクラブの皆さんと訪問です。



サイチャエリアは台湾南部に位置し、北風の吹くこの季節に抜群のフライト確率をなります。台湾中央に南北にそびえる山脈が見事に風をブロックし、適度な西風となってエリア内は白くスモッグな景色ですが、穏やかなサーマル(上昇風)で練習生にもソアリング練習ができます。また、ランディングも広大で、アプローチにプレッシャーはありません。



1月12日
川根から関西空港まで車移動が大変でしたが、飛行機に登場してしまえば台湾高雄国際空港へヒトっ飛び!今回宿泊ベースとなるピントンのホテルへ、到着は遅くなり早速、食事は謎のおでん屋さん。台湾独特の具材でしたが、美味しくいただけました。まずはゆっくり休んで明日からの修行に備えました。



1月13日
ピントンからサイチャエリアまでは約40分。初日はランディング場とアプローチを確認してからスタートです。サイチャらしい白くスモッグな景色ですが、11時を過ぎると不思議と穏やかなサーマルが上がってきます。先ずはエリアになれるべくテイクオフ周辺でリッジソアリング。13時を越え、慣れてきたころにはサーマルも活発に。高度が取れたら平野部へも空域を広げていきます。15時には南風が強まり無理せず初日を終了。



たっぷり飛べた後はピントンの夜市へGo!スクーターバイクでごった返す路地を抜け、アジアらしい屋台で台湾海鮮料理を楽しみました。フライト後の夕食も台湾の魅力です。



1月14日
2日目は視界がクリアーで昨日と違いすっきりしたサイチャです。クリアーな分、昨日よりもサーマル活動は活発!今日のチャンピオンはアスカちゃん。川合師匠のリードで1200mの雲底に達し、隣の朝日山へ。田中さん、信彦さんもしっかりトップアウト(テイクオフよりも高くなること)でき満足な一日でした。




今日の晩餐はやはり夜市にある台湾式シャブシャブ店へ!有名店らしく凄く繁盛しているだけあり美味しくいただけました。最後はおじやにして〆。



1月15日
昨日とは打って変わって今日もスモッグで真っ白。毎日よく変わるもんだなと思うほどの変わりようです。気圧の谷の通過のため、大気も不安定のようです。午前中から良く上がります。上がりすぎて雲に入らぬようにグループソアリングに挑戦!日本ではなかなかできない練習が進みます。今日のチャンピオンは諸田さん。初の830mまで上げて1時間30分のフライト!自己記録更新おめでとうございました。
う!



今日の晩餐は小籠包の名店へGO!流石本場!飲茶が美味しすぎる。毎日違うバリエーションの台湾料理を楽しめています。



1月16日
低気圧の通過により、小雨の朝です。今日は晴れ間を求めて、台湾中央に位置するプーリーエリアへ移動することになりました。ピントンから2時間半のドライブ。北上するうちに雨は止み、プーリーに入るとなんと晴れ間が!ウキウキしながら入山手続きを始めたころには再び曇りとなり、安定した講習コンディションになってしまいました。




それでも雨は降りそうもなく、こうなったらランディングのターゲット大会!着陸精度を高める練習となりました。信彦さんは5本もフライト!ターゲットを狙いすぎた明日香ちゃんは「日本に帰りたくなーい!」ポーズで盛り上げてくれました。もちろん私はど真ん中を踏んで面目を守りました。





夜にはちょっとオシャレな日本式居酒屋で打ち上げパーティー!毎日飛べた4日間の楽しかったフライトの余韻に浸りながら、台湾最後の夜を楽しみました。



1月17日
10時とゆっくりホテルを出発。高雄空港から関西空港へ。関西空港から川根へのドライブを経て、川根へ帰還したのは21:30。時差もなく、近くて暖かい台湾はやっぱり冬の定番ツアーになりそうです。
来年も行きましょう!


投稿者名 宮田 歩 投稿日時 2019年01月19日 | Permalink

川根小学校 あっちこっちハイキング パラグライダー体験


地元川根小学校のあっちこっちハイキングイベントでパラグライダー体験をさせていただきました。



2グループに分かれ、バームクーヘン作り体験とパラグライダーに分かれます。



パラグライダー体験は子供も、大人もノリノリ!50本以上飛んで、オジサンの足はパンパンになりましたが、子供たちの笑顔で気分爽快!




大きくなったらパラグライダーで大空に舞い上がってください!

川根の空で逢おう!


投稿者名 宮田 歩 投稿日時 2018年11月09日 | Permalink

鵜山七曲パラグライダーオープンカップ2018 大会報告


鵜山七曲パラグライダーオープンカップ2018 レポート 
                          実行委員会  宮田 歩

静岡県島田市に生まれた七曲パラグライダーパークも今年4年目を迎えました。開発当初から、地元川根町の皆さんをはじめ、島田市のご協力をいただき、全国大会を開催するまでになりました。本当に感謝致します。




さて、七曲エリアは、高度差700m。その名の通り大井川が狭い範囲で大きく褶曲した「鵜山の七曲」を眼下に望むことができるダイナミックな地形のエリアです。南北に流れる大井川には日中、駿河湾からバレーウインドが吹き込みます。バレーウインドは褶曲した地形で淀み、サーマルトリガーとなりテイクオフ前面斜面に安定して吹き上がります。このダイナミックなエリアを楽しみたいと北は仙台、西は北九州から80名の選手が集まりました。




25日(土)大会初日。
大会前日には台風20号が通過し昨晩まで雨が残りましたが、朝には快晴。テイクオフは雲の切れ間から幻想的な絶景が望めましたが、無情にも風は西風が強く競技フライトは不可能と判断。競技は中止が決定され、開会式は川根文化センターホールにて行われました。





その後、選手の皆さんには島田市観光タスクにGO!再度集まった懇親会では、団体の垣根を越えた選手間の交流が印象に残りました。ファルホーク前田氏、アウトバーン加賀山氏の協賛品争奪じゃんけん大会も盛り上がりました。




26日(日)2日目
雲一つない快晴の朝。今日も西風強風予報でしたが、東風のサーマルブローの押し上げに期待しスケジュールは早めにシフト、少ないチャンスにかけて選手はテイクオフへ移動。仮タスクも発表され、あとは東風ブローの押し上げを待つのみ。ダミーパイロットも万全の体制でウェイティングしますが、無情にも西風は強まるばかり・・・。10時に無念の競技キャンセルが判断されました。






下山後は、選手全員に賞品をお持ち帰りいただけるように、紙飛行機アキュラシー競技で順位をつけさせていただきました。優勝はベテランの小幡選手!さすが紙飛行機も直進安定性を重視した放物線で的を狙う作戦はさすがでした。



パラグライダーの競技会は天気次第なところがあり、今回は2日間フライトすることはできませんでしたが、スタッフのベストを尽くした御もてなしに皆さん楽しんでいただけたものと思います。




この大会は毎年続けられる記念すべき第一回大会です。第2回では選手の皆さんに川根の空を満喫していただきたい!スタッフ一同お待ちしております。

ありがとうございました。



投稿者名 宮田 歩 投稿日時 2018年09月01日 | Permalink

タイ Khaosadao XC camp 2018


プロローグ
東南アジア屈指のXCエリア、タイ国カオサダオエリアで開催されるイベントに参加です。250KmのタイXC記録をブレークすることはもちろんですが、アジア各国のパイロットと交流を深めることがもう一つのミッションです。近年、アジアでのパラグライダー愛好家は経済発展と共に急増しています。将来は日本にも飛びに来ていただけば。そんな夢も描きながら先ずはガツンと記録更新を狙います。



4月7日 Day1
今回は地元、静岡空港から出国。アシアナ航空でソウル経由バンコクへ。やはり、静岡空港は便利!川根町からは車で40分。駐車料金も無料!まだ海外便も少なく、出国審査もガラガラ。いつもの長蛇の列でのストレスはなく、気持ち良く出国となりました。バンコクのホテルに到着は日付が変わり深夜1時。即爆睡でした。


4月8日 Day2
今回アテンドいただいたのは、タイ在住の日本人ヒロさんと奥さんのWiさん。ハイエース3台もチャーターしていただき、かつてない豪華なサポート体制です。昨日通過した前線の影響で、本命のカオサダオは北東風が強く飛べないとのことなので、東風で飛べるカオデンに移動することになりました。午後には到着しましたが風は強く、夕方まで待ちましたが、地元パイロットが飛んでいるのを見学。我々は無理せず下山。強風にもかかわらず、巧みにグライダーをコントロールし、果敢にテイクオフする地元パイロットに感服。



4月9日Day3
今日もカオデン。強かった東風も、午後から収まりタイ初フライト。高度差300mほどのカオデンエリアですが、サーマルは十分。800m付近の逆転層は強く、下層は荒れていましたが、平野部に出ればサーマルも大きく飛びやすい。20Kmほど西にある大きな湖の脇までプチXC。地上サポートチームとの連携も確認でき、ウォームアップには丁度良いフライトとなりました。



4月10日 Day4
風は弱まったものの、タイ国中部のバンコク周辺の風は東風。やはりカオサダオは飛びにくい風向きのため、今日までカオデンで飛び、夕方からカオサダオへ移動プランとなりました。

今日のカオデンは朝から何やら大勢の人が・・・。どうやらパキスタンの映画会社の撮影で、パラグライダーで飛び立つシーンの撮影があるとか。しかし、わざわざタイまできて撮影しなくてもと思われますが、それだけ規制が少なくやりやすいのでしょう。さすが微笑みの国タイ!

さて、フライトはというと、今日も下層は強めの東風。上層の南風に乗って北上。バンコクへ向かうジャンクションがゴールで、そのままカオサダオへ向かう作戦となりました。平野部は積雲もできず、サーマルトップも1200mほど。難しいコンディションでしたが、何とか手前までたどり着き自分の中ではコンプリート。やっとタイの暑さにも体が慣れてきました。

しかし、本日本当のクロスカントリーはここから始まるのでした・・・。タイの正月に当たる今週、大都市バンコクから地方に帰省される方で幹線道路は大渋滞!バンコクの渋滞は半端でないと聞いていましたがここまでとは。カオサダオに着いたのは日付が変わって2時!ドライバーの皆さんお疲れ様でした。

さあ、明日から本番です!



4月11日Day5
さあ、今日からカオサダオXCイベントスタートです。カオサダオはバンコクから北東に250Kmに位置し、高度差300mほどの単独したテーブルマウンテン南斜面にあります。ランディングは広大なタロイモ畑。テイクオフも整備されていてスクール生も安心して飛べる環境です。

先ずは、10時のブリーフィングから参加。主催者のカプテンは昔PWCで一緒に飛んだことがあり、エリアの250KmXC記録保持者でもあります。タイらしいのんびりとした雰囲気の中、エリアルールと注意点が説明されました。

10時には徐々にサーマルブローが入り始め、練習生からフライト開始。自分は暑い中、ゲートに並ぶことを避け、早めにテイクオフ。本流の裏風が入るリーサイドコンディションでしたが、運よくヒット!得意の昇竜拳でサクッと涼しい雲底に付けて上空からコンディションの変化を待ちます。テイクオフは本格的に裏風が入り始めたのか、テイクオフできないようです。早めに出といて良かった。

さて、当初1800mだった雲底も12時を過ぎるころには逆転層もブレーク!2200mまで押しあがったタイミングで北方向へ単独スタート。広大な大地には、耕作されたタロイモ畑、天然ゴムのプランテーション、水田が広がっています。昔は全部ジャングルだったのだろうなあ。そんなことを考えながら、フラットランドへグライディング開始。

高度があるときは積雲を追いかけ、低くなったらサーマルトリガーとなる点在する町。フラットランドのセオリー通りに発生するサーマルを拾いながら、今日の目標である150Km先の町へコマを進めます。風はほとんど無風のためスローペースでしたが、今日は何時までサーマルが続くかの調査もあり、とにかく夕方まで空中にいることにしました。

15時を過ぎるとコンディションは急に良くなり、雲底は2500m。サーマルも地表から順調に雲まで続くものに変化。80Kmを過ぎたところでも、やはり南風は吹きませんでしたが、やっと巡行スピードが上がってきました。

16時を過ぎてもサーマルは活発。そろそろ回収されやすい幹線道路を選択しながらのフライトになります。そして17時を過ぎたところで良さそうな村に降りることに。6時間のフライトでたったの135Kmでしたが、このエリアを調査するミッションは完了。楽しめました。

https://airtribune.com/5190/tracks__175258

明日は強めの南西風が期待できます。250Kmの記録をブレークするチャンス!準備は万端です。



4 月 12 日 Day6
さあ今日から本当の挑戦が始まります。本流は下層から上層まで南西風。気合を入れて今日も最初に 11 時にテイクオフ。

幅広いレベルのパイロットに XC を楽しんでもらうイベントですが、始めの渋いコンディションでは、テイクオフ前が込み合い大変なことに・・・。ちょっと技術の差がありすぎ、ちょっと危ない局面はありましたが、宮田は西の端で雲底をゲット!セカンド集団でスタート。

今日のコースイメージは、昨日よりも東側コースに形成されるクラウドストリートまでたどり着き、東北東の方向で距離を延ばすプラン。前半はイメージ通りに東に進みますが、風向きが予報に反し、南東風。これでは風に逆らいスピードに乗れません。しょうがなく、昨日のコースに修正し、雲のないブルーエリアを一人修行旅となったのです。

フラットランドの単独 XC は、降りることはないにしても、サーマルの強いところに入るのが遅れ、やはりスローペースになってしまいます。何度か低くなり、いよいよ気まずい雰囲気がする頃に、今日も来ました神の使者!ピンチになったときに、どこからか現れるソアリングバード!しかも、今日は 30 匹ほどの鶴のような渡り鳥の大群が「ハイ!こちらでございます。」とばかりにガーグルとなり、あっという間に2300m の雲底まで引き上げてくれました。タイの神様今日もありがとうございます。

さて、後半は風向きも上層風が南西風に落ち着き、対地速度 60Km/hほどで、昨日より少しはペースが上がってきました。積雲もランダムに広がるようなり 100Km 地点通過で15 時。コンディションも雲底 2500m まで押しあがり、さあこれからが勝負!スピードを上
げていきます。

16 時を過ぎ、太陽が傾いてきてもサーマル活動はまだまだ活発。夕方特有の穏やかな対流に、そろそろ疲れてきていますが、なんだか癒されます。17 時を過ぎても 1500m ほどの高度で下がらず上がらず、距離は伸びていき、ついに夕陽を見ながの至福のファイナルグラド。

https://www.xcontest.org/…/fli…/detail:ayumu/12.4.2018/04:08

降りてみると小さな村でしたが、たくさんの村人の大歓迎を受けることに!まずは家までスーパーカブのサイドカーに乗せていただき、村まで凱旋。「まあ家まで来て休みなさい」とばかりに案内され、シャワーを浴び、夕食までご馳走になりました。

村始まって初めてのジャパニーズだったようで、熱烈歓迎!村中の人が集まってきました。言葉は通じませんでしたが、写真を見せたり、ボディランゲージでコミュニケーションは通じました。回収車が来てくれたのは 23 時近くでしたが、タイの田舎で、素朴な方々との交流ができ、素晴らしいウルルン体験でした。

今日も 6 時間以上飛びましたが、距離はたったの 200Km。コース選択に改善の余地はあり
ます。

明日こそ250Kmの記録をブレーク!まだチャンスはあります!





4月13日 Day7
今日も快晴の朝です。イベントは週末まで続きますが、我々のチームにとってはカオサダオ最終日。記録更新へのチャレンジも今日がラストチャンスとなります。

天気は東から近づく低気圧の影響か、少しづつ大気は不安定になり、夕方にはどこかでサンダーストームとなる予報。夕暮まで飛ぶ場合は、積乱雲に注意しなくてはなりません。しかし、大気が不安定な分、大気対流は大きくなりサーマルは活発化、我々には追い風となりそうです。

今日も11時にテイクオフ。やはり昨日までのサーマルと違い1800m の雲底まで逆転層無し
。スムーズに上がっていきます。これは良い兆候!11:30には雲底2000m まで押しあがったところでスタートです。

積雲の雲頂高度も2500m を越え、場所によってはご立派な雄大積雲にまで発達しています。これは調子に乗って雲底まで上げると吸い込まれてしまいそう・・・。うまく吸い上げリフトを利用し、約15Km ほどのトランジット。前半から良いペースで進みます。

今日は記録狙いがミッションのため、コース取りは追い風が利用できる様、シンプルに対地速度が最大になる方向へコースを取ります。幸運にも積雲はコース上にランダムに形成され、この3日間で最も良い感じで100Km をパスし時間も14時。このペースでいければ250Kmブレークのチャンス。ちょっと気持ちが浮つき始めてきました・・・。

110Km を越えたところであれだけあった積雲はなくなり、コース上はブルーエリア。選択肢は2つ。時間はかかりますが、遠回りですが東へ大きく迂回し、手堅い積雲コースに戻るか?それとも、記録狙いのために男は真っ直ぐ、雲のない試練のコースへ勝負に出るか!?

ここはやっぱり男を見せねば!勝負に出ることにしました。まだ高度も2000m。雲がな分、地表近くのサーマルトリガーを探し、グライディングは続きます。対地速度が最大に出る方向で、トリガーとして可能性が高い場所の上を通過していきますが、上昇はありません。どんどん高度を損失し、いよいよ気まずい雰囲気・・・。

昨日までなら、ここで神の使者が助けに来てくれるはずですが、今日は鳥も飛んできません・・・。こうなれば神頼み!とばかりにタイらしいキラキラの仏閣上空にラスト勝負!

無情にも安定した下降気流しかなく、あえなく撃沈。今回のカオサダオ XC チャレンジは終了となりました。ランディング後、村の周辺の田んぼを見ると田植えの準備中。通常トリガーとなりうる村が、水に囲まれて熱吸収が悪い。それはサーマルもでないのが簡単に想像できます。過去の多くの失敗から学び、油断は禁物だったはずですが、今回もやはりやってしまった感じです。

https://airtribune.com/5190/tracks__175637

暑さを避けるため、お寺の庭先でグライダーをパックしていると、今日の第一村人となるお坊さんが寄ってきました。タイ語で一生懸命話しかけてくれるのですが、もちろんさっぱり理解できず。困った顔をすると、笑顔で手を合わせ、「遠くからよく来なさった、ここで休みなさい」とばかりにテレパシーで返してくれました。さすがタイ僧侶!心通わせていだだきました合掌。

さて、回収を待って村の商店で暑さをしのいでいると、今日も多くの村人が集まってきました。店主は水やバナナをくれ親切。村人が来るたびに、同じ写真を見せ、「迎えが来るから大丈夫!」という説明を繰り返します。今日もウルルン体験。

記録はブレークできませんでしたが、久しぶりに燃え尽きた3日間となりました。フライトタイムは16時間と飛行距離は450Km。自分なりにアタックしたフライトに、競技を休止した2年間のブランクも一気に埋まった感じです。



4月14日 Day 8
昨晩 XC フライト後、そのままバンコクへの移動で皆さんお疲れ気味。今日はゆっくりバンコク観光となりました。観光と言っても都市部ではなく、一般人が行けない所ということで、船でバンコクの下町!水上住宅へ GO!

途中、道端で売っているドリアンを遂に食するチャンスが!!!その風貌と匂いのイメージから心の準備をしていましたが、新鮮なドリアンは匂いもフルーティ。そしてその味は!?濃厚なプリンのような味わい深く、さすがフルーツの王様!あまりの美味さにタイに来て一番のショックを受けました。

さて、目的地の水上住宅に到着し街の中を徘徊。テレビで見た通りの東南アジア特有のエネルギッシュな街に感動。水上住宅は入り組んだ運河を渡船が走り回ってます。イタリアの水上都市ベネチアを彷彿とさせますが、そこはやっぱりタイランド!決してきれいとは言えない泥水の上に普通に生活している人々、そして家の下には全長2mは凌駕する巨大なワニ?トカゲ?が普通にうろうろしていました。タイのショックランキングであっという間にトップ更新


夕食後は宮田のリクエストから本場タイの格闘技ムエタイを観戦に。地方の草大会かもしれませんが、リングサイドでの観戦は迫力がありました。そして、試合も佳境に入ると、興奮した観客は柵を乗り越えてリングサイドへ乱入!誰がセコンドかわからなくなる状況も面白かったです。さすが本場タイ!夜遅く続いた試合に観戦も体力が必要でした。



4月15日 Day9
今日はバンコクの南東部にある有名なリゾート、パタヤビーチの側にあるエリアを訪問。
安定した南風でスクールが講習をする場所として使われているいます。

リッジソアリングができるほどの風が強まらず、グランドハンドリングだけとなりました
が、綺麗な海を見ながらタイパイロットへライズアップ講習をさせていただき、のんびり交流を深めることができました。

タイパイロットのビアーさんは、タイ国モータースポーツ界のレジェンドドライバー!国内スーパーバイククラスとレーシングカーのチャンピオン。日本のレースにも来るそうです。凄い人とお会いできてよかった。



4月16日 Day10

長かったタイ国滞在もついに最終日。アテンドいただいたヒロさん、Wiiさんの計らいで最後はちょっと豪華な打ち上げ食事会。食事は屋台から大衆食堂、そして高級店まで。そしてタイ特有の南国フルーツ!日本では決して食べられない、初めての食材、素晴らしい料理もすべて美味しくいただくことができました。

そして、空港への帰りに、イベント主催者のカプタン宅を表敬訪問。タイ航空の機長でもある彼の大豪邸は、マンゴーがいっぱいで南国の楽園イメージ。カオサダオでのXCイベントは来年も開催予定していただけるそうで、また来ることを約束し帰路に立つことになりました。





エピローグ
フライトだけでなく、タイ国を様々な角度から体験、紹介いただけ非常に良い経験となりました。思うと過去、競技会かフライトツアーでしか海外へ出ていませんでした。こんなにフリーな気持ちで、純粋にフライトや旅を楽しめたのは初めてです。ヒロさん、Wiiさん、そしてタイ国の皆さんに本当に感謝です。日本にもタイパイロットやツーリストを招き恩返しをしたい!次のミッションとなります。

最後に、唯一覚えたタイの言葉「コップン・カープッ!(ありがとう)」合掌。



投稿者名 宮田 歩 投稿日時 2018年04月17日 | Permalink