UPパラグライダースクール XCセミナー
和歌山県UPパラグライダースクール主催のXCセミナーに講師として参加させていただきました。ここ紀の川エリアは東西に延びる紀ノ川に沿って、安全にXCフライトを楽しめる環境があります。とは言っても、日本のXCフライトはオーストラリアの大平原と違い、様々な制限と注意点があります。まずはXCセオリーからスタートとなりました。
GPSの使い方と同時に、今回はインストールが簡単な「airtribune」というライブトラッキングアプリを使い、リアルタイムに位置情報が確認できるように設定。自分の安全確保だけでなく、エリア管理者からも動きが確認できてこれは便利。最近のデジタル通信機器は本当に優秀ですね。
午前中かけてしっかりセオリーを学んだ後、午後から山に上がってみますが、予想以上に雲量は多く、これではソアリングできそうにありません。急きょ、遠方LDへ野外ランディング実践練習を行いました。XCフライトでは風向きにこだわらず、地形を優先したファイナルアプローチをとることが基本です。皆さん編流飛行を意識したアプローチを実践、理解いただけたようです。
最後に、明日の目的地となる三谷橋ゴールまでのコースを地上から確認ツアー出発!コース途中に想定される緊急ランディングと、難関とされる竜門山を過ぎた後の北山周辺の地形と高圧線をチェック。XCフライトは念入りな飛行計画と、地上からの調査をすることが大切です。これで明日のシミュレーションは完璧!?
クラブハウスに戻るとスタッフ、クラブ員の皆さんが温かい鍋を用意してくれていました。美味しい料理に舌鼓を打ちながら、パラ談義で盛り上がりました。ごちそうさまでした。
2日目は朝から快晴!紀ノ川エリアは、西から移動性高気圧に覆われ冬のベストコンディションになりそうです。朝の気象ブリーフィングを行い、飛行コースを確認したところでテイクオフへ移動となりました。
北斜面である紀ノ川エリアは11時頃からサーマル活動がスタートし、正午前後にサーマルは小休憩、13時以降にまた良くなるそうですが・・・。遅い時間はテイクオフレベルの風向きが南西に変わる予報も出ているため、セミナー組は早めにテイクオフすることになりました。ダミーのミヤボンが順調に上昇していくのを確認し、皆さん随時テイクオフしていきます。
早い時間は上空の北西風が強く苦戦しましたが、弱まるにつれてサーマルトップは1400mまで押しあがるようになりました。寺山上空で上げきったパイロットから、スタート報告無線を入れて竜門山頂へいよいよスタートです!
最初のグループは、シミュレーション通り高圧線を越えて、予定通りにお城→ホテル→北山の主稜線上をコース取りしましたが、強めの北西風に苦戦。お城周辺のサーマルにはヒットしますが、上げきると南に流されます。それでも何とか北山へ周りこみファイナルグライドに入ります。紀ノ川上空は強めの西風が吹いており、追い風に乗って楽々三谷橋へ到達でしたが・・・。もちろん降りるには少々強めのランディングとなります。西に向けるとほぼ垂直降下するような状態でしたが、セオリー通りの強風アプローチで皆さん無事にランディング。
リフライトをした後発グループも、今度は順調に上昇。先発グループからの情報から、竜門山からはダイレクトに北山を目指し難所をパスします。最後はピラミッド西斜面で上げながら三谷橋まで見事到達!!参加者全員が無事に目的地に到達することができました。
今回参加していただいた方ほとんどが、初めてのエリア外へXCフライト。初日良い緊張感をもって準備できたおかげか、実際のフライトは冷静に実践できていたように見えます。強風での野外ランディング実践もでき、着地後の皆さん、達成感と安堵感で笑顔!!おめでとうございました!
XCフライトは距離を伸ばすこと、ゴールに達することだけが目的ではありません。その日の気象コンディションを最大限に利用したフライトに挑戦することにその醍醐味があるように思います。今回学んだしっかりしたシミュレーションと調査準備を基本に、今後も安全にXCフライトを楽しんでください。
サポートしていただいた村井校長をはじめ、スタッフ、クラブ員の皆さんありがとうございました。